認可外保育施設「うつぶせ寝」死亡事故、児童の両親が提訴:大阪市

 大阪市淀川区東三国にあった認可外保育施設「たんぽぽの国」(閉園)で2016年4月、当時1歳2ヶ月だった男児がうつぶせ寝で死亡した事故で、児童の両親は4月4日、施設の運営会社と大阪市を相手取り、約8700万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に提訴した。

事故概要

 事故は2016年4月4日に発生した。

 大阪市の事故検証報告書によると、事故の経過は概略、以下のようにまとめられている。

 児童はこの日の午後2時頃、初めて保育所に預けられた。登園前は家庭で普通に生活し、健康状態には特に異変はみられなかった。

 午後2時20分頃、保育士が園児を布団に寝かせた。午後2時40分頃までに児童は就寝した。児童はうつぶせ寝状態になっていた。

 午後3時25分頃に保育士が児童の異変に気付いた。保育者はこの児童を事務室に移して介抱したが、その間に別の児童のお迎え対応などで席を外すこともあったという。119番通報したのは、異変を認知してから約20分たった午後3時49分だった。

 午後3時58分に救急隊が園に到着した。現場到着時点で園児は心肺停止状態だった。園児は病院に救急搬送されたが、病院に駆けつけた母親への説明を経て午後4時50分に蘇生行為が中止され、死亡が確認された。

 保育園は事故後の2016年6月末に閉園した。

この保育園に預けられるまで

 保護者がこの保育園を選択した経緯は、大阪市の事故検証報告書によると、概略以下のようなことが記載されている。

 母親は職場復帰に際して週2日の勤務となったことから、認可保育所では預かり条件を満たせなかった。地元区役所で無認可保育施設一覧と市の立入検査の状況一覧を入手し、入手した一覧に基づいて複数の施設を候補としてリストアップし、各施設を見学した。

 「市の施設立ち入り調査基準を満たす」とする項目が高評価だったことや、園側の説明内容、運営会社がウェブサイトで保育士派遣や研修なども手がけていると紹介していたことなどから、最終的にこの施設を選んだという。

保育施設の水準・安全性の向上を

 提訴は事故から2年目の節目におこなわれたことになる。

 保護者側は、保育者が睡眠中の児童の様子を十分にチェックしていなかったとして、施設側の責任を指摘した。また大阪市に対しては、保育者が1人しかいなかった時間帯もあったのに放置していたとして、行政としての管理責任を指摘している。

 提訴に際して、保護者は「子どもを預けて安全であるところの保育所を求めていて、ただ単に場所があって人がいるところは保育所ではない」(父親)と話しているという(毎日放送webより)。

 保育所は児童の生活の場として、安全・安心なところであることが、不可欠の条件である。

 一方で大阪市は維新市政のもとで、保育所の保育基準の切り下げをおこない、従来より簡易な条件でも保育をおこなえる「特区」も提唱している。

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 しかし保育条件を切り下げることは、このような事故につながるリスクと一体である。大阪市の行政としての責任についても、検討される必要がある。