豊郷小学校旧校舎問題・町長に賠償命令確定

 滋賀県豊郷町立豊郷小学校の旧校舎解体問題で、住民が大野和三郎町長に対して、「02年12月20日、大津地裁が前日に解体工事の差し止めを命じる仮処分を決定したのに、業者に指示して旧校舎の窓ガラスや窓枠などを壊し、町に損害を与えた〔『毎日新聞』2006/6/8〕」として、旧校舎の修復費用の支払いを町に支払うように求めた訴訟で、最高裁で6月8日、町長側の上告を棄却しました。


 豊郷小学校の旧校舎は、1937年に町出身の財界人・古川鐵治郎氏が、当時としては巨額の私財42万円(当時の県予算の約6%に相当)を投じて町に寄付し、また米国人建築家・ヴォーリズが設計にかかわったということです。
 旧校舎は建築当時「東洋一の小学校」とも形容されるほど豪華なつくりで、また当時の町民に歓迎されたということです。旧校舎は現在でも文化財に値するもので、建築的な視点から見てもすぐれているということです。
 町長が解体工事にこだわった理由としては「耐震性の不足」だということをあげていました。しかし専門家らによる耐震診断では、「旧校舎は補修工事をすれば使用は十分可能」という結果が出ました。
 住民らは「文化的・教育的価値の高い旧校舎で学ぶことが、子どもの教育のためになる」「耐震性も補修工事で対応可能」として、旧校舎の解体に反対してきました。
 一方で町長も強硬な態度を見せたため、豊郷小学校校舎問題は激しい住民運動に発展し、2002年12月20日に解体工事が一部強行されるなどしました。解体工事強行の際、作業員が反対派住民を突き飛ばしたシーンが、取材に来ていたテレビカメラにとらえられ、ニュースの映像で流れていたということも思い出されます。
 解体工事強行は1日で中止されました。しかし、文化や歴史・教育・建築の専門家の意見などを無視して、町長が旧校舎解体にこだわったのは、全くナンセンスな話だと考えざるを得ません。
 最高裁で町長の行為の不当性が認定されたことに関しては、一応は住民側の訴えが認められたと判断できると思われます。個人的にも、最高裁の判断は歓迎したいと思います。
 旧校舎は現在、町民の交流の場などとしての使用が検討されているということですが、具体的な活用にまではいたっておらず、立ち入り禁止の状態が続いているということです。せめて、旧校舎改修と住民への開放をできるだけ早期におこなうことを願います。