藤沢市立中学校いじめ訴訟の「その後」追った新聞記事:神奈川

 『毎日新聞』(神奈川版)2010年1月5日付に『光を求めて:/4 中学校にいじめ認めさせる /神奈川』という記事が掲載されています。

 「神奈川県藤沢市立湘洋中学校1年生だった2003年から中学校を卒業するまでいじめを受け、精神的ショックから心因性難聴などを発症した」などとして、被害にあった女性(現在19歳)が訴えた訴訟で、横浜地裁は2009年6月5日、いじめの存在や学校側の対応の不適切さを認め、藤沢市に損害賠償を命じました。その後一審判決が確定しています。
 このいじめ事件を振り返り、被害者の近況を追った記事です。
 いじめの様子は、記事によると以下の通りだということです。

『光を求めて:/4 中学校にいじめ認めさせる /神奈川』(毎日新聞2010/1/5より一部引用)
 入学して間もない部活動中に「先輩への言葉遣いが悪い」と言われたのが始まりだった。1年生の夏、カバンをズタズタに切られる。物がなくなる、暴言を浴びせられる……。被害が続いていた2年生の9月、耳が聞こえにくくなった。「心因性」だと精神科医は告げる。記憶が欠落する「解離症状」も現れた。母親に「今から帰るから」と電話した後、どこを通り、誰に会ったのか思い出せない。
 医師は幾度も転校を勧めたが「転校したら負け」と応じなかった。負けず嫌いな性格だ。3年進級前、親が学校に掛け合い、仲の良い友達3人を同じクラスにしてもらった。そんな友達が支えだった。自分に原因があるのか確認したくて「これっておかしいよね?」と問いかけると、励ましてくれた。
 ところが教師や学校は違った。部活顧問の男性教諭はカバン事件を校長らに報告さえしない。3年生の10月、セーターを切られ、心当たりの名を学年主任に告げると、「彼女を疑うことは中学生の常識としておかしい」と怒鳴りつけられた。「中学生の常識って何?」「私、間違ってるの? 間違ってるなら直したい」。疑問を抱えたまま卒業した。

 いじめの内容も悪質であり、また学校の対応も悪質だといえます。被害を訴えている生徒に対して、まともに調査もせず一方的な「常識」を振りかざして抹殺した形になっています。これは「教師による生徒いじめ」といっても差し支えないレベルの悪質行為でしょう。その教師のいうところの「常識」は再検討の余地はあるでしょう。
 卒業後は加害者と別の高校に進んだことでいじめは収まりました。しかし通学途中に偶然加害者を見かけ、直後に体調を崩すこともあったといいます。
 一方で進学した高校が「いじめを全校集会で明らかにし、加害者を退学させたこともある」など中学校とは対照的な校風だったことで、いじめを放置し被害者を責めたという中学校の教師の行為を「大人から受けたいじめ」と感じるようになったということです。このことに気づいた被害者は、試行錯誤の末、高校2年になった2007年に提訴に踏み切りました。
 勝訴判決が確定し、被害者は「自分が間違っていなかったと判決が認めてくれたから考えられるようになった」として、将来の進路について思いをめぐらせることができるようになったということです。
 いじめそのものが存在しない、という状況であることこそが理想的であることはいうまでもありません。一方で、万が一いじめに遭ってしまった場合には、いじめの事実をしっかりと認め、早期に対応することこそが重要になるということを示しています。

スポンサードリンク