ブラック校則、「ゼロ・トレランス」生徒指導の実態告発:参院文教科学委員会

 3月29日の参議院文教科学委員会では、「ブラック校則」やゼロ・トレランスといった生徒指導の実態について、吉良よし子参議院議員(日本共産党)が質疑をおこなった。

校則と生徒指導

 吉良氏は、校則や生徒指導について、「ブラック校則をなくそう!プロジェクト」の調査を引きながら、中高生の親世代にあたる現在の40代~50代が学生だった頃より校則が厳しくなっているという指摘をおこなった。

 吉良氏は、下着の色まで指定され、下着チェックまでしている学校があると訴えた。服装検査では教師が女子生徒のスカートをめくって違反チェックをしたり、ひどい場合には男性教師が女子生徒の服装検査をおこない「今日の下着は青だから校則違反」と声をかけるケースもあったと指摘し、「これはもはや生徒指導ではなく、セクハラ・パワハラ・人権侵害だ」と強く批判した。

ゼロ・トレランスに基づく生徒指導の実例

 また吉良氏は、理不尽な生徒指導を受けたという訴えが約10年前から急増している背景には、2006年に第一次安倍内閣のもとで出された「児童生徒の規範意識の醸成に向けた生徒指導の充実について」の通知、いわゆる「ゼロ・トレランス」に基づく通知から始まっていると指摘した。

 「ゼロ・トレランス」を具現化した例として、広島県福山市での事例をあげ、このような生徒指導はおかしいと指摘した。

 福山市では2011年、市立小中学校で生徒指導規程を作成した。問題行動の内容に応じて、説諭や反省文、警察など外部機関との連携での特別指導、別室指導などが規定されている。

 別室指導では反省室に入れられ、数日間授業は受けさせてもらえない。その間の反省室では漢字の書き取りなどだけだという。

 別室指導を受けさせられた生徒が「数学の問題がわからない」と訴えても教師は「習ったはず」と取り合わず、教室に戻してほしいと訴えても無視された末に不登校になった事例があると訴えた。これは学ぶ権利の侵害ではないかと強く批判している。

 また福山市でおこなわれた「特別指導」について、中学校3年のある女子生徒の事例を紹介した。

 生徒は校則違反を疑われ、教師からの指導を避けるためにトイレの個室に逃げ込んだが、教師が二人がかりで生徒を個室から引きずり出そうとした。その際に生徒が抵抗して教師の手を振り払ったことを、教師は「対教師暴力」だとして警察に通報して生徒を逮捕させた。教師は「生徒が教師の首を絞めようとして壁に押しつけた」と嘘を言い、生徒は警察に二晩留置された。本人は「手を振り払っただけで首は絞めていない」と訴えても警察は「手を振り払っても首を絞めてもどっちにしても傷害罪だ」と自白を迫り、また目撃者の別の生徒が「首は絞めていない」と証言しても無視されたという。本人も保護者も同級生もショックを受けて学校に強い不信感を持っていると訴えているという。

文科省の答弁

 林芳正文部科学大臣や文科省の担当者はいずれについても、生徒指導は「必要かつ合理的な範囲内でおこなうべき」「自尊感情を損なうような指導をおこなってはならない」などと答弁した。

 その一方で答弁は一般的な内容としておこなわれ、吉良議員が指摘した個別の事例については「一概に申し上げることは差し控える」とした。

強権的な生徒指導が不信感を招く

 質疑では、ブラック校則や「ゼロ・トレランス」に基づく生徒指導の生々しい実態が告発されたことになる。これは、被害に遭った生徒本人にとっても、周りの生徒や保護者にとっても、許しがたいことである。

 こんなものは生徒指導なんてものではなく、人権侵害そのものである。こういう誤った「生徒指導」をなくすための手立てが早急に求められている。

 またいわゆる「ゼロ・トレランス」的な生徒指導が、2006年の第一次安倍内閣のもとで広まり、この10年で生徒指導のあり方が強権的・人権侵害的になっているという指摘も、重要な論点だといえる。

 「ゼロ・トレランス」の発想は、教育現場には害しか及ぼさないことが、数々の実例で証明されているということになる。

 福山市の「対教師暴力」でっちあげ逮捕の事例のように、勘違いした教師が強権的に振るまい、意に沿わない生徒を攻撃し排除する口実ともなる。

 「ゼロ・トレランス」を背景にした強権的・人権侵害的な振る舞いによって、学校・教師の本来の意味での指導力が落ち、生徒と教職員との相互不信を生み、また不登校など別の形でしわ寄せが来たり、いじめなどの生徒の不適切行動は水面下に潜って陰湿化するなど、状況を悪化させることにつながるのではないか。

 「ゼロ・トレランス」の発想から決別し、児童生徒の人権を尊重する生徒指導や学校運営へと転換していかなければならない。