「愛国心」を評価対象にすることは不必要

 教育基本法「改正」の焦点のひとつとなっている「愛国心」について、政府の公式見解としては「愛国心」評価は必要ないとしています。
 しかし、現在でも「愛国心」が成績評価の対象となっているケースが、全国的にあるようです。


 「愛国心」評価の現状について、文部科学省や各都道府県教育委員会による系統的な調査は今のところおこなわれていないようです。「愛国心」評価を実施している学校の正確な数は、現時点では不明です。
 その一方で、報道機関などの調査によると、「愛国心」評価が一定規模で広がっていることが浮かび上がる結果が出ています。

  • 日本共産党の志位和夫委員長(衆議院議員)が5月24日の国会質問で、福岡市(現在は廃止)の事例を取り上げた。(2006/5/24)
  • 毎日新聞調査によると、埼玉県鴻巣市・行田市・熊谷市・深谷市・騎西町・寄居町、茨城県常陸大宮市・牛久市・阿見町、愛知県北名古屋市、岩手県大船渡市・釜石市で「愛国心」評価を実施していると判明。また福井県でも一時期実施されていた。(毎日新聞2006/5/26付)
  • 朝日新聞調査によると、愛知県津島市・愛西市などで「愛国心」評価を実施していると判明。(朝日新聞2006/6/8付)

 現在でも「愛国心」評価が広がっている背景としては、学習指導要領の存在があります。現行の学習指導要領では、小学校6年生の社会科の目標として、「国家・社会の発展に大きな働きをした先人の業績や優れた文化遺産について興味・関心と理解を深めるようにするとともに,我が国の歴史や伝統を大切にし,国を愛する心情を育てるようにする」と明記されています。「愛国心」を評価項目にしているのは、学習指導要領が根拠となっています。
 「愛国心」は児童・生徒の内面に関する問題であり、評価にはなじみません。「愛国心」を評価するということは、特定の「愛国心」の理想像を前提としなければ不可能であり、児童・生徒の内面を統制する危険性のあるものです。
 「愛国心」を評価すること自体が無意味と考えられますが、学習指導要領に明記されていることで評価項目に入れられているという側面もあります。果たして、教育基本法の改悪で「愛国心」が教育基本法に明記されると、学習指導要領よりも強い強制力を持って「愛国心」評価が正当化されるのではないかという、強い危惧があります。