丸子実業高校いじめ自殺訴訟:遺族が控訴取り下げ

 長野県丸子実業高校(現・丸子修学館高校)で2005年、当時1年生だった男子生徒が所属していたバレーボール部でのいじめを苦にして自殺した事件の訴訟で、一審判決を不服として控訴していた母親が10月24日までに控訴を取り下げていたことがわかりました。


 この事件では、他のいじめ自殺事件にはないような特異な経過をたどっています。
 加害者側が逆に「母親がいじめをでっちあげたために精神的損害を受けた」として逆提訴するという事態になりました。一審長野地裁(2009年3月6日)では上級生部員の暴行の一部を認めて上級生から母親への1万円の損害賠償を命じたものの、逆提訴側の言い分を採用して母親から加害者側23人に計約34万円の賠償を命じる判決が出されました。「被害者が被害を訴えることが『中傷』となる」ということに等しい、前代未聞の不当判決です。
 今回の控訴取り下げは、控訴人である母親が精神的に参ってしまったことが原因ではないかとみられます。
 裁判の上では一審判決が確定した形になりましたが、判決はあくまでも裁判所の判断であり、事実関係のすべてを反映しているというわけではありません。
 いじめと指摘された行為は事実無根やでっちあげではありません。加害者とされた上級生が自殺した生徒に暴力を加えた事実は、刑事事件としても民事訴訟としても認められています。
 この事件に限らず、福岡市立小学校担任教師による人種差別的児童いじめ事件や「浦安事件」(千葉県浦安市立高洲小学校養護学級担任による暴行・わいせつ・児童虐待事件)など、加害者本人やその周辺から悪質な逆切れと居直り・被害者攻撃が公然とおこなわれる事件が、最近目立っています。
 社会の風潮を反映しているといってしまえばそうなのかもしれませんが、今回の訴訟の結果は悲しいことです。被害者を泣き寝入りさせるようなことは社会的に許されるべきではありませんし、二度と同じようなことを発生させてはなりません。
(参考)
◎御代田町の高1自殺:損賠訴訟 母親、控訴取り下げ 1審判決が確定 /長野(毎日新聞 2009/10/25)