さいたま市児童虐待:通報は結果的に生かされず

 埼玉県さいたま市桜区で10月10日、母親(33)が1歳女児を突き飛ばして急性硬膜下血腫で意識不明の重体になった事件がありました。この事件に関連して、事件前日に別件で被害児童を診察した医師が虐待を疑って通報しながら「直近の傷ではないから緊急性が低い」と判断していたことがわかりました。


 『東京新聞』2009年10月14日付『1歳児虐待 容疑の母逮捕  通報なぜ生かされず』によると、事件前日の10月9日にこの親子が病院を訪れ、医師の診察を受けています。被害児童は左腕を骨折していて、しかも骨折から数週間経っていて曲がったまま固まった状態だったといいます。病院側が不審に思い、同日中に児童相談所に通報しました。
 児童相談所は「直近の傷ではない」「政府の児童相談所運営指針では48時間に子どもの安全確認をしなければならないことになっているが、今回の場合は医師が子どもの無事を確認しているので緊急性は高くない」と判断し、すぐには駆けつけませんでした。母親が生活保護を申請中で、10月13日にケースワーカーが母親に面会予定でした。児童相談所は、ケースワーカーから面会結果を聞いてから対策を立てることにしていました。
 児童虐待の専門家らによると、新たな傷がなかったことで「緊急性が低い」と判断したことはありえるという見解だということです。
 確かに、骨折を長期間放置して曲がったまま固まった状態になってから受診させるなど、通常の想定範囲を超えているといえるのかもしれません。通報内容を正確に把握できずに「虐待とみられる古い傷があった」という理解にとどまった可能性もありえるでしょう。
 しかし結果的に子どもへの暴力が防げなかったという重い事実があります。今回の事件を教訓にしていかなければなりません。