特別支援学校でのけが「事実知りたい」と提訴:静岡

 静岡県立特別支援学校に通う男子生徒(17)が2008年4月にけがをしたことについて、「学校の対応に落ち度があった」として、家族が静岡県を相手取り18万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が、10月1日に静岡地裁で開かれました。


 事故は2008年4月28日に発覚しました。生徒の家族は同日、生徒の額や頭頂部の傷を発見しました。傷は同日の登校前にはなかったことが確認されていて、学校でけがをしたと強く推定されます。
 生徒は障害のために話すことができない状態だということです。
 生徒は当時自傷行為を繰り返していたということですが、今までけがをしたことのなかった場所への傷だったことや、頭部陥没などけがの程度が重かったことから、学校側にけがの発生状況について詳しく問い合わせました。
 学校側は数日後、自傷行為があったと口頭で説明し、「自傷行為に対して教諭がもっと早く対応すべきだった」などとする文書も手渡しました。
 しかし2008年8月になり、静岡県教育委員会は「自傷行為はなかった」「学校でけがをしたのではない」とする教員4人の申述書を示したということです。申述書の文体はほとんど同じで、家族は学校や教育委員会の口裏合わせを疑っているということです。
 両親は新聞社の取材に対して「自傷行為なら仕方ないと思ったこともあったが、本人が話せないのをいいことに説明を変えた対応が納得できず、提訴した。他人からたたかれるなどしたのか、校内での事故だったのか、自傷行為だったのか。お金を求めているのではない。真相を明らかにしたい」(読売新聞2009/10/2『自傷行為の賠償訴訟で生徒側「学校側の説明一変」』)と話しています。
 学校や子ども関連の施設での事件・事故の際、被害者が被害を訴えられない、ないしは十分に訴えにくい状況にある(被害者本人が死亡や意識不明の重体、乳幼児や障害などのために事故の状況を説明できないなど)ことをいいことに、加害者側や学校側が自分たちに都合のよいように事実関係を捏造して自己正当化を図り、時には被害者を攻撃するなどしてきたという事例は、今までも多数ありました。
 今回の事件についても、説明が変遷しているということは、何らかの不審な状況があった可能性も疑われます。
 提訴はお金の問題ではありません。18万円の損害賠償のために、少なく見積もっても数十万円がかかると推定されるにもかかわらず、それでもあえて提訴せざるを得なかったのは、事実が知りたいという強い思いがあるからでしょう。静岡県教育委員会は事実を明らかにし、誠実な対応をとるべきです。