仙台市立保育所民営化差し止め訴訟:仙台地裁で請求棄却

 仙台市が10月から市立保育所2ヶ所を民営化する方針について、保護者らが民営化差し止めを求めた訴訟で、仙台高裁は9月28日、原告側の請求を棄却しました。


 原告側は「性急なスケジュールによる保育主体の変更で、児童の成長発達に重大な悪影響を与える恐れがある」などと主張しました。しかし判決では、仙台市は保護者の意向に配慮して計画を進めているなどと判断し、権利侵害が著しいとは認められないと請求しました。
 判決が出る前の記事になりますが、『河北新報』2009年9月25日付『構造編(4)民営化/環境変化気もむ保護者』では、民営化の背景や経過について詳しく触れられています。記事では民営化対象となった保育所の1つ、大野田保育所(太白区)の状況について触れられています。
 同保育所では「引き継ぎ」として2009年4月より、公立側の保育士と私立側の保育士が合同保育を実施しています。10月より新築園舎に移転して民営化し、公立側の保育士は引き上げる計画になっています。
 一方で、園児が「保育所に向かう途中、近くに新築中の保育所が見えてくると「やだなあ」「古くても今の方がいいなあ」と言うようになった」ということが紹介されています。また提訴の理由についても「4月に保育士の人数が急に2倍になったかと思うと、10月には引っ越しをする上、なじみの保育士が全員いなくなる。こんな大きな環境の変化が子どもに良い影響を与えるはずがない」などと紹介されています。
 保育所民営化の問題については、各地で争われてきました。大阪府大東市立保育所の訴訟では、民営化取り消しは認めなかったものの、民営化手続きの不備を認めて保護者に賠償を命じる判決が、2007年11月に最高裁で確定しています。一方で横浜市立保育所民営化問題での東京高裁逆転敗訴(2009年1月)など、保護者の訴えを却下する判決もあります。
 こういった問題は、最終的には子どもの立場に立って判断されなければなりません。民営化による環境変化は、子どもの状況にも少なからぬ影響を与えることになります。