学力テスト開示請求22件:鳥取県

 全国学力テストの学校別結果の開示を開始した鳥取県では、開示請求が9月14日時点で22件あったということです。団体からの請求が13件(県外の団体1件を含む)、個人からの請求が8件です。


 開示することでどんな弊害が発生するのかをまともに検討しないまま、「情報公開」の大義名分を振りかざした開示請求をおこなったり、また興味本位での開示請求をおこなうなど、極めて危険です。
 もちろん一般論の範囲での情報公開の理念は否定しませんが、学力テストの自治体別・学校別の平均点開示については、一般論の範疇では論じられない性格をもっています。
 平均点を自治体別・学校別に比較したところで、それはあくまでも平均値であり、児童・生徒一人一人の到達状況が把握できるわけではありません。
 平均点を到達度のすべてかのようにすり替えて学校別・地域別の競争が起きるというのは、これまでも各地で発生してきたことです。学力テスト開示賛成論者は、開示に伴う弊害をあたかも「机上の空論」かのように主張しますが、学力テスト開示に伴う弊害は現実に各地で発生しています。
 文部科学省がおこなっている都道府県別成績開示ですら、「わが○○県は全国平均と比較して上(下)」という論調も目立ちます。順位が下位になった地域ではテスト対策の「学力向上」策をおこなうなどしました。
 また全国学力テストとは別に地域独自に学力テストをおこない、学校別・自治体別の成績を公表している地域もあります。学校選択制を導入している地域では、学校選択制と連動して、「平均点の高い学校=いい学校」と短絡的にとらえて「人気校」と「不人気校」の格差ができ、「人気校」では学校過密化による教育条件低下、「不人気校」では生徒急減による教育条件低下がそれぞれ発生しています。
 また、平均点がふるわなかった教科の担当教員が地域からつるし上げにあい転勤に追い込まれたという事例もありました。成績下位になった学校の生徒が自信を失い校内暴力が頻発するようになった事例も報告されています。学力テストの学校別平均点や順位が低かった学校に通っている生徒が、部活動や学習塾などで他校の生徒から学力テストをネタにからかわれるなどした例も発生しています。
 実際にこのような弊害が起きています。すなわち、開示することは逆に有害であるといえます。闇雲に開示することでこういう弊害を広げることは目に見えています。プライバシーに関する情報とは少し性質が違いますが、プライバシー並みの慎重な扱いをしていかなければならない情報だといえます。
(参考)
◎鳥取県に学テ開示請求21件…県外からも1件 鳥取県教委「慎重に判断」(読売新聞 2009/9/15)