「君が代」意向確認拒否で再任用拒否:大阪府商工労働部が大阪府教委に改善要請

 大阪府立高校で定年退職後に再任用を希望した教諭に対し、採用の選考期間中に、卒業式での「君が代」斉唱の職務命令に従うかどうかの調査をおこなったことは不当だとして、大阪府商工労働部が大阪府教育委員会に対し、口頭で改善要請をおこなっていたことがわかった。

 再任用を希望したが不採用となった教諭2人が、3月30日に記者会見して明らかになった。

 当該の教諭は起立斉唱の職務命令に違反したとして、戒告処分を受けたことがあるという。処分を受けた際の研修で、起立斉唱の職務命令に従うかどうかを問われ、回答を拒否していた。

 2017年3月に定年退職を控え、再任用を希望する旨を校長に伝えていた。採用選考期間中の2017年1月、校長は教諭に対し、「起立斉唱の命令を含む上司の職務命令に従うかについて『はい』か『いいえ』で答えよ」とする質問をおこなった。教諭は、「生徒の就職の際、違反質問には答えないように指導している私たちが、そのような内容に答えることはできない」として回答を拒否した。

 教諭は直後の2017年2月に不採用の内示を受けた。

 一方で、所属校の校長は再任用が適当と判断していたことが、情報公開により明らかになった。

 教諭らはこれらの経過を、思想信条による差別ではないかと訴えている。教諭らは府商工労働部に相談した。商工労働部は教諭らの訴えと府教委への聴き取り内容を検討して、採用の時期に意向確認するのは選考目的と考えるのが一般的として、「思想・信条に関わること」を質問することは就職差別につながりやすいとして注意するよう求める要請を3月におこなった。

 入学式や卒業式での「君が代」起立斉唱の強制・職務命令は、思想信条の自由に抵触する可能性があるものである。「君が代」への考え方や態度が、教職員としての根本的な能力を左右するものだとは、とうてい思えない。

 大阪府では維新府政のもと、教育への介入・統制の動きが進んでいる。「教育基本条例」による教職員への締め付け強化、卒業式での「君が代」口元チェックなどの統制強化、「国旗国歌法で強制は望ましくない」とする内容に触れた実教出版高校日本史教科書(2012~16年度版)を府立高校で採択しないように大阪維新の会大阪府議団が要請したことなどの状況もみられた。

 今回の再任用拒否の問題も、根底では維新府政とそれに基づく大阪府の異様な教育行政の問題がある。あまりにもひどい内容に、当の大阪府自身が労働行政としてはこのような内容を肯定できなくなったというのも一種の皮肉ではある。

 当該教諭らは再任用を求めて再審査を申し立てている。大阪府教委は対応を改めるべきではないか。

(参考)
◎国歌不起立 再任用しないのは「思想の自由侵害」 教諭が会見 /大阪(毎日新聞 2017/3/31)
◎大阪府教委 「君が代」再任用希望者に意向確認 就職差別のおそれ 商工労働部が改善要請(毎日新聞 2017/3/31)

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