道徳教育の評価が入試判定に使われる恐れを危惧する質問主意書

 長妻昭衆議院議員(民進党)が2017年3月9日付で「道徳心に成績を付けた通知表が入試で使用される実態に関する質問主意書」を提出し、2017年3月17日付で答弁書が受領された。

 道徳が「特別の教科」に移行されることに伴い、学校では道徳の評価をつけることになる。評価は数値などでおこなうのではなく、文章などでおこなうとしている。

 道徳の評価と入試での合否判定との関係については、文科省は「道徳科の評価は入試で使用しません」「道徳科の評価は入試で活用しません」とする見解を示している。

 質問主意書では、「私立中学校においては、受験の際にいわゆる通知表のコピーの提出を保護者等に求める学校が多くみられる」として、通知表の道徳の評価が入試の合否判定基準として使用されることを危惧し、質問している。

 政府の答弁書では、受験の際に通知表のコピーを提出させる学校の数や割合については文科省として把握していないとした。また、道徳の評価を入試で使用しないとする文科省の方針は一貫しているともした。

 「道徳科の評価は入試で使用しない、との政府の方針を今後、どう担保していくのか」という質問については、「通知表の写しが提出される場合は道徳科に係る部分が削除されるなどの適切な措置がとられるよう周知、徹底を図ってまいりたい」などとした。文科省では「いかなる形であっても道徳科における評価が入学者選抜で用いられることのないよう求めている」としている。

 道徳の評価が入試の合否判定に使用されるようなことは、あってはならない。このことは強調されなければならないし、文科省もそのことを認めていることになる。

 一方で、道徳の評価が入試の合否判定に使用される恐れがあるのではないかという不安は、十分に払拭されていないことにもなる。具体的な方策をとる必要があることはいうまでもない。

 もっとも、そもそも道徳で評価を前提としているという点から、再検討されるべきなのはいうまでもない。道徳の評価自体が一種の矛盾であり、その矛盾を前提をしているから入試の合否判定に使われるのではないかという不安が生まれることになる。

 全国学力テストの平均点や順位の扱いのように、当初は公開範囲は限定的に扱われていたものの、おかしなことに使おうとする動きがうごめいてなし崩しに公開範囲が拡大されるなどしている。道徳の評価の入試活用についても、似たようなことになる危険性も捨てきれない。

 道徳への評価というそもそもの行為から問われなければならないし、少なくとも評価を前提とした制度のもとでも入試には活用させないという具体的で実行ある対策、両方ともおこなっていかなければならない。

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