教科書検定:高校教科書で沖縄戦の「集団自決」の「軍命」「強制」記述復活せず

 文部科学省は3月24日、2016年度の教科書検定結果を発表した。この検定では、「特別の教科」をして設定された小学校道徳の教科書が初めて検定対象になったほか、主に高校2年生向けの教科書が対象になった。

 高校日本史科目の教科書検定の結果も発表された。沖縄戦の「集団自決」(強制集団死)問題については、8冊中6冊が取り上げたものの、「日本軍による命令」「軍命」を明記した教科書はなかった。

 「集団自決」問題での「強制」「軍命」を示す記述は2006年度高校教科書検定で検定意見が付いて削除させられ、その後中学校社会科歴史的分野でも記述が後退させられた。この問題は、歴史研究者や沖縄県の住民からの強い抗議が出て、国会で取り上げられるなどもしている。

 背景には、極右教科書の人脈につながる文科省の調査官が介入していたことや、政治的な方針などの、歴史修正主義的な問題が指摘されていた。

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教科書検定に文科省調査官が介入していた
 『琉球新報』2007年10月11日付『文科省調査官が介入、波多野委員が初明言 教科書検定審議』によると、沖縄戦での集団自決に関する教科書検...

 教科書会社の中には、ギリギリの表現で「強制性」や「軍命」を浮かび上がらせようと工夫しているものもある。一方で直接的な記述ができない状態が続き、10年たっても記述が復帰しないままとなっている。

 今回の検定でも記述が復活しなかったのは、非常に残念である。