大阪市育鵬社教科書採択不正疑惑:「アンケート影響なし」と判断

 大阪市の2015年度中学校社会科教科書採択をめぐり、採択前の教科書展示会会場でのアンケートに、「フジ住宅」(大阪府岸和田市)が従業員を動員して育鵬社版を推す回答を組織的に大量に投函し、採択結果に影響を与えた不正があったのではないかと疑念が出された問題。

 大阪市が設置した外部監察チームは3月3日、アンケートは採択に影響はなかったとする報告書をまとめて市に提出した。

 大阪市では2015年度の教科書採択で、2016年度から4年間使用する中学校社会科(歴史・公民)教科書に、育鵬社版が採択された。育鵬社版の中学校社会科歴史・公民教科書は、執筆勢力の母体となっている日本教育再生機構につながる極右勢力が組織的に推している。教科書の内容も不正確だったり一面的だったりするうえに、採択の際には各地で強引な手法がとられて問題になっている。

 育鵬社から「大阪市では、教科書展示会会場でのアンケート状況が採択状況を左右する」とフジ住宅に伝えられ、組織的動員につながったことが指摘されている。

 アンケートの集計についても、集計を担当した職員が「同一文面や同一と思われる筆跡が多数ある」と気づいて集計担当の責任者に相談したが、そのまま集計するよう指示されたという話もある。

 報告書では、教育委員会が採択教科書を固めた時点ではアンケートが集計されていなかったとして、影響はないと判断した。その一方、フジ住宅については、育鵬社からの情報で、アンケート結果が採択の決め手になるとの認識を持っていたと判断した。

 調査結果が甘いのではないかという気がしてならない。明らかになっている事実と照らし合わせても、大阪市教委の対応を追認しようとしたようにもみえる。

(参考)
◎育鵬社教科書 「アンケート影響なし」大阪市外部監察(毎日新聞 2017/3/3)
◎育鵬社教科書採択「市民アンケート影響なし」 大阪市教委の外部監察チーム(産経新聞 2017/3/3)