「安倍首相頑張れ」国会質疑で取り上げられる

 衆議院予算委員会で2月27日、全閣僚が出席しての締めくくり質疑がおこなわれた。森友学園の問題についても、国有地取引疑惑や、そこから派生して発覚した不適切な教育活動、産廃不正処理疑惑など様々な角度から取り上げた。

 福島伸享衆議院議員(民進党)は、森友学園が運営する塚本幼稚園(大阪市淀川区)の運動会の宣誓で「安倍首相頑張れ」「安保法制が国会を通過してよかった」などと園児に言わせていたことを指摘した。

 この様子は、塚本幼稚園が撮影し園児の保護者に販売している、2015年の運動会記録DVDに収められているという。2月24日にネットメディアで指摘され、2月25日以降テレビ局が流すようになった。

 教育基本法第14条の政治教育・政治活動に抵触するのではないかと疑問を出した福島氏に対し、松野博一文科相は「所轄庁である大阪府が判断する。対応状況を注視していきたい」と答弁し、即答を避けた。安倍晋三首相は「学校の考え方としていろいろ取り組んでいるものと思う」「そういうことを園児に言ってもらいたいということは全く考えていない」「文科省が事実関係を確認中」としている。

 森友学園の籠池泰典理事長は2月27日までにNHKの取材に応じ、DVDの内容について、「偉人の勉強。安倍さんのことも話せば、リンカーンやエジソンの話もする。(現代から過去まで各分野の人を取り上げるから)そういう意味では何も偏っていない」などと話している。指摘された内容は事実だと認めた上で、問題はないという見解を示したことになる。

 しかし、特定の現役政治家の名前を出して「頑張れ」と言わせたり、特定の政策を出して「よかったです」と肯定的に言わせることなど、明らかに教える側の評価・感情を一方的に子どもにすり込む政治教育・政治活動といえるものではないか。

 塚本幼稚園の経営陣や職員が、一人の個人として安倍首相を応援するのも、安保法制を支持するのも、個人の内心の自由である。しかし個人の評価にもかかわらず、それを客観的事実かのように園児に押しつけ、すり込むのはふさわしくない。

 大阪府では、大阪府教育委員会が作成した中学生向けの自学自習プリントで、英語の教材に「My name is Toru Hashimoto. I work hard for people in Osaka.」(私は橋下徹です。大阪の人々のために一生懸命働いています)という文章が例示され、その文章を元に練習問題が作成されていたことが2015年1月に発覚し、指摘を受けた府教委は該当教材を差し替える騒ぎがあった。橋下徹氏はその時点では大阪市長で、問題プリントが作成されたとみられる時期には大阪府知事だった。府教委は当時、「問題を作成した指導主事が、例文や練習問題の題材に、芸能人など有名人の名前や活動を使っていた流れで、橋下徹氏の名前を出したのかもしれない」とした。

 大阪府教育委員会が児童・生徒の自学自習用に作成したワークブック教材に、橋下徹を肯定するような妙な内容があることが指摘されている。問題が指摘...
大阪府教育委員会作成の中学校英語補助教材の例文として、「My name is Toru Hashimoto. I work hard for...

 塚本幼稚園での運動会での選手宣誓も、基本的には「橋下徹」例文事件と同じ構図といえる。単なる類似事件にとどまらず、安保法制という個別具体的な政策の評価を言わせていることや、「日本を悪者として扱っている中国、韓国が心を改めて、歴史教科書でうそを教えないようお願いいたします」とヘイトと受け取れる内容も含まれていたことなど、問題はより悪質だといえる。

(参考)
◎園児に「首相がんばれ」宣誓 森友学園運営の幼稚園で(朝日新聞 2017/2/27)
◎森友学園理事長 園児が首相応援発言 「何も偏っていない」(NHKニュース 2017/2/27)

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