大阪市立デザイン教育研究所、民営化断念

 橋下徹前市政以来の方針によって廃止・民営化が検討されてきた専修学校「大阪市立デザイン教育研究所」(デ研)について、大阪市は2月21日、計画していた2019年度以降の民営化を断念し、当面は市の直営で運営する方針を決めた。

 土地や建物の無償貸与などの条件で運営事業者を公募したが、応募者がいなかったとしている。

 この問題は、橋下・維新市政が掲げた大阪市の廃止解体・いわゆる「大阪都構想」に端を発して、デ研も巻き込まれた形になった。

 いわゆる「大阪都構想」により、歴史的背景もあってそれぞれ設置された経緯があるにもかかわらず、同じような施設が大阪府と大阪市でそれぞれ運営されているのは二重行政と難癖をつけられた。教育分野についても、大学や高校などの教育施設が府立と大阪市立に分かれているのはおかしいと一方的に決めつけられて、府市での統合や一元化などが乱暴に打ち出された。具体的には、市立大学は府立大学と統合、市立の高校や特別支援学校は府立への移管方針が掲げられた(特別支援学校については2016年4月移管、高校や大学については検討中)。

 デ研は元々大阪市立工芸高校に接続する美術・デザイン系の専修学校として同校に併設して設置された経緯があり、工芸高校をはじめ美術・デザイン系の専門学科高校卒業生を受け入れ対象にしている。デ研については、大阪府への移管は困難と判断し、2013年6月に廃止方針を打ち出した。

 しかし関係者から反対運動が起きるなどし、また当初の2013年の廃止方針発表には「当時の高校3年生が受験準備を進めていて、試験日まであと数ヶ月というところで突然翌年の入試中止、廃止方針が打ち出された」など重大な瑕疵があることが指摘されたこともあって、一度延期された。

 教育委員は2014年7月、現地視察の上で「存続が望ましい」とする意見を出した。しかし橋下が直後に「廃止の方針には変わりがない」と一方的に言い立てたことで、教育委員は一夜のうちに意見をトーンダウンさせ「当面は市立として運営するが、将来的には市立としては運営しない。民営化の事業者を探す」という方針を出した。

 しかし、事業者は見つからなかったことになる。

 当面の存続にはなった形にはなり、関係者とっては胸をなで下ろせる結果にはなった。しかしこの問題では、不要な混乱を巻き起こしただけの橋下徹の弊害をまともに食らった形になっている。橋下が余計なことをしなければ、余計な苦労をしなくてすんだのではないか。

(参考)
◎市立専門学校 民営化断念へ(NHKニュース 2017/2/21)
◎大阪市立デザイン教育研究所存続へ(毎日放送 2017/2/21)