「被害者保護」という名目での加害者保護

 高知県教育委員会は7月13日、2年前の2007年に発生した高知県立高校教諭の懲戒処分事案2件について、高知県議会総務委員会で公表しました。いずれも生徒へのセクハラ事案で、処分当時には公表していませんでした。

 30代男性教諭は「部活動の遠征の際、宿泊先のホテルで部員の生徒に対して『指導』と称して抱きつくよう強要した」として2007年7月に停職1年の懲戒処分を受けました。該当教諭は辞職したということです。
 もう一人の40代男性教諭は「部活動の遠征の際、宿泊先のホテルで部員の女子生徒にセクハラ発言をおこなった」として2007年9月に停職1年の処分を受けました。教諭は停職期間満了後、事件を起こした学校とは別の県立高校で復職したということです。
 高知県教育委員会は「被害者保護」としてすぐには公表せず、被害者が卒業するなどしたとして今になって公表しています。しかし実際は被害者保護ではなく、加害者保護でしかありません。
 「被害者保護」の名目で教師の氏名や事件のあった学校、それどころか場合によっては事件の事実関係そのものが公表されないことで、加害者は第二・第三の事件を繰り返す危険性もあります。とりわけ学校でのセクハラ・わいせつ行為や、児童・生徒への暴力は、再犯率が極めて高いものだといわざるを得ません。これでは、何も知らない児童・生徒を危険にさらすことにもつながります。
 実際、千葉市立小学校で担任クラスの児童に教室でわいせつ行為を繰り返したことがばれて退職した教師(外部への公表なし)が、前歴を隠して宮崎県延岡市の小学校に採用され、そこでも同様のわいせつ行為を繰り返して2004年に逮捕されたという事例もありました。
 また少し異なるケースですが、生徒にセクハラ行為を加えたとして停職処分を受けながら氏名・勤務校名を公表されなかっ宮崎県立高校教諭が、その後学校外で通りすがりの高校生に対してわいせつ行為を起こして逮捕されたというケースも先日発覚しています。
 今回の教師については、1人が依願退職、もう1人は別の学校に異動したということです。別の学校に異動した教師については、転任先の生徒はそういう前歴をもつ教師だということを知らずに授業や部活動の指導などを受けている可能性が極めて高く、第二・第三の被害者を生み出すことにもつながりかねません。
 また依願退職した教師についても、氏名や事実関係が公表されていないことで、他県で何事もなかったかのように勤務したうえ、新たな被害者を生み出す可能性もあります。これは極めて危険なことです。
 氏名や学校名どころか事件の事実関係すら公表しない、これは結局加害者擁護にしかなりません。「被害者擁護」などともっともらしい名目を付けて加害者を擁護する形になる、セクハラ教師の氏名・勤務先や事実関係の非公表措置は高知県だけではなく全国的におこなわれていますが、こういうことはやめるべきでしょう。
(参考)
◎県教委:県立高教諭2人の懲戒処分、2年前の内容を公表--県議会委 /高知(毎日新聞 2009/7/15)