前川氏講演:当該校校長と名古屋市教委が会見

 名古屋市立中学校での総合学習の授業の一環として、文科省前事務次官・前川喜平氏の講演がおこなわれたことに対し、文科省が圧力とも取れる「問い合わせ」をおこなった問題。

 愛知県の公立中学校で、総合学習の時間に前川喜平・前文部科学省事務次官を外部講師として招いた授業を実施したことに対して、文部科学省が当該自治...

 3月15日夜に最初の報道がされ、翌16日には国会質問でも取り上げられるなどもしている。

当該校校長と名古屋市教委が見解を表明

 この問題について、名古屋市教育委員会は3月16日に、文科省とのメールのやりとりの内容を公表した。また当該校の校長と名古屋市教委の担当者は3月16日に名古屋市役所で記者会見を開き、事実関係や認識を説明した。

 学校・市教委側は、問い合わせについては回答したものの、「前川氏の授業の様子の録音があれば提出してほしい」という要請については、「前川氏からの許諾が得られていない」として拒否した。

 市教委の担当者は、3月1日に最初のメールが届き、それに対して3月5日夕方に返信すると、翌3月6日朝には追加質問が記された2度目の問い合わせメールが来たことを明かした。「授業の内容に踏み込んでの質問はあまり経験したことがない。意図はきちんと聞いていかないといけない」と話している。

 その上で、「今回のことが、外部から人を招くときの障壁にならないようにしたい」と言及した。

 校長は、前川氏を招聘した理由について「3年前に講演を聴いて感銘した」とした。前川氏が過去に天下り問題に関わっていたことについては「何かした人は絶対にだめだとは、人権教育の上でもしたくない。過去の問題とは切り離して考えた」とした。

 また校長は、文科省の対応について、「腹が立っているとかそういうことはない。このような事態になったことは自然体で受け止めている」「(林文科相が記者会見で、前川氏を招いたことについて慎重な検討が必要だったとする発言をおこなったことに対して)そう思われたんだなというだけ。発言を否定するつもりはなく、受け止めはいろいろあるんだろうなと思う」と発言し、文科省に対する直接的な見解は避けた。

河村たかし名古屋市長は文科省に苦言

 河村たかし名古屋市長は3月16日朝、報道陣の取材に応じた。

 この問題について「お上下々の象徴の事件が起きた」と批判し、「国が『俺らの言うことを聞け』ということでしょ。ちょっとやりすぎだと思いますわね」「教育委員会もちょっとは反発して、対応を議論してもらわんといかん」などと、文科省の対応に苦言を呈した。

教育内容には自主性の尊重が必要

 今回の件は、かなり異例なことである。報道によると、文科省関係者の中からも「やりすぎ」と批判があがっているという。

 やはり、前川氏が政権にとって意に沿わない人物だから、根掘り葉掘り聞き出そうとして圧力をかけたのではないかと疑われても仕方がないのではないか。これは文科省による教育内容への介入にもつながりかねない。

 名古屋市教委や当該校の校長は、文科省の行動に対して肯定や否定といった見解を述べることは控えている。その一方で、教育の自主性を尊重して対応していることに注目・評価したい。

(参考)
◎「過去の行為とは別」 前川氏講演、適切と中学校長(朝日新聞 2018/3/16)
◎前川講師問題 文科省とのメール公開 名古屋市教委(毎日新聞 2018/3/16)
◎河村市長「お上下々の象徴の事件」 文科省の報告要求に苦言(中日新聞 2018/3/16)