大阪市北部児相増設問題、産経新聞の記事に違和感

 大阪市北部こども相談センター(児童相談所)新設問題をめぐり、大阪市は2016年12月、当初の予定候補地としていた北区のマンション内での開設を断念し、別の場所での設置を検討するために開設時期が遅れる見通しとなった。

 この件について「産経新聞」2017年1月26日付が『「なんで、ここなんや!」タワマン住民反発、児童相談所は〝迷惑施設〟か…大阪市の設置計画撤退の裏事情』という記事を出している。

 この記事には違和感を感じた。記事では、児童相談所が開設できなかったことについて、住民が迷惑施設扱いして反発したことが原因かのように描いている。

 しかしそういう扱い方は、不正確ではないか。

 大阪市北部こども相談センターは、大阪市での虐待対応件数の急増に伴い、従来全市1か所だった児童相談所を増設する計画の一環として計画されている。従来の中央区森之宮のこども相談センターのほか、市内南部の平野区瓜破に南部こども相談センターを2016年に開設し、さらに北部こども相談センターを増設して市内北部の7行政区を管轄する計画になっている。

 しかし計画の過程に甘さがあり、また強引な方法で進められることになった。大阪市では、北区の分譲マンションの市所有の区分スペースが現在空きスペースになっていることに目をつけて、駅からも近いなどとしてこども相談センターの候補地にした。

 このことに関して、住民らは反対の方向で動いた。これは「迷惑施設が自分のところに来るから反対」という、いわゆるNIMBY問題に矮小化されるような単純な話ではない。

 住民らは、来所・生活する児童や保護者へのプライバシーへの配慮、施設には自然光が入らないこと、体育館・運動場など体を動かせる場所がないことなど、子どもたちの環境にとっても不十分ではないかなどと指摘した。

 さらに、北区のマンションは管轄予定の7行政区では一番端になること、森之宮の児童相談所ともさほど離れていないことなどの立地もあげ、人口が多く相談件数の大半を占める淀川区にある元市施設の未使用地のほうが、駅からの距離も北区のマンションと大差なく、来所・相談する保護者にとっても利便性があることを指摘した。また中庭がありグラウンドが隣接するなど、子どもの環境にとってもより良いのではないかとも指摘した。 

 さらに市議の調査と議会質問では、マンションを改装するよりも、市の計画では一度候補としてあげられたものの第二候補地以下として扱われた淀川区の元市施設を改装するほうが、費用も安く抑えられるのではという指摘も出された。

 これらの事情を十分に書ききれていないことで、施設設置が遅れたのは住民のエゴが原因かのようにも受け取れることになり、誤解を招きかねない記事になっている。これは、極めて残念なことだと言わざるをえない。

スポンサードリンク
スポンサードリンク

シェアする

フォローする