2017年千葉県知事選挙で考えたいこと

 2017年3月9日告示・3月26日投開票で実施される予定の千葉県知事選挙。現職の森田健作知事は年明けにも立候補を表明するとみられている。その一方で森田県政に批判的な立場から、松崎秀樹浦安市長が2016年12月に出馬の意向を示したという。

浦安市立小学校性的虐待事件での不可解な対応

 松崎氏については、浦安市内の市立小学校で起きた事件について、浦安市長として不可解な対応をおこなったことを指摘しなければならない。

 2003年、浦安市立小学校の当時の養護学級担任教師が、受け持ちのクラスの女子児童に性的虐待を繰り返し加えた、いわゆる「浦安事件」が起きた。この事件では教師は逮捕・起訴されたものの、最初は犯行を認めていた加害者は途中から否認に転じ、被害者が知的障害児だったことを逆手に取って「知的障害児の訴えは信用できない」などと中傷した。

 刑事裁判では「性的虐待事件があったこと自体は疑う余地がない」と認定しながらも「公判対象となった事件については、日時や場所の証明が十分にできなかった」として、刑事裁判としては法的に有罪判決を出せないからやむをえずという形で、かろうじて有罪を逃れた。

 その一方で、被害者が事件に関して民事訴訟を起こした。民事訴訟では、刑事事件では認められなかった部分も含めて教師の犯行をほぼ全面的に近い形で認定し、浦安市から被害者側に損害賠償金を支払うよう命じる判決が2010年3月に確定した。加害者は、浦安市から損害賠償金相当額を求償され、損害賠償金相当額約400万円を市に支払っている。

 加害者は刑事事件での判決確定後依願退職した。民事裁判を傍聴した人の記録によると、加害者は民事裁判時点での職業を問われ「フリーで写真の仕事をしている」と答えたという。その一方でネット上では、新聞報道された加害者の氏名と同姓同名で住所も「加害者と同じ市・同じ町内」の人物が運営する「自作写真販売のネットショップ」と、作成者は匿名で加害者を「元教員」と三人称で表現しながらも「加害者本人しか情報を得られないはずの内容」にも複数触れながら事件を正当化し被害者を執拗に中傷するサイトとが相互リンクしていたことなど、不審な状況もあった。

 松崎氏についても、この事件では市長として加害者に肩入れするような不適切な対応をおこなっていたことが指摘されている。松崎氏が人を介して加害者に弁護士を紹介したことが明らかになっている。2006年6月の浦安市議会での市長答弁で認めている。この他にも、松崎氏は市長として、事件の解明や対応には消極的だったことが指摘されている。

 千葉県知事選挙では、このことも投票判断にしてほしいと願う。

千葉県政での教育分野の問題

 もっとも、現職の森田県政も、教育分野ではとんでもない内容をおこなってきたことも忘れてはいけない。

 森田氏は初当選直後の2009年6月、「日本教育再生機構」の代表委員で、学校現場での「体罰」を推奨するような人物を、千葉県教育委員に任命している。「日本教育再生機構」は、戦争美化や人権軽視などの極右的な問題が指摘される育鵬社中学校社会科歴史・公民教科書の母体でもある。森田氏自身が、「日本教育再生機構」の代表委員をつとめていたこともある。

 2015年の教科書採択では、県立中高一貫校の2中学校で、育鵬社の社会科歴史・公民教科書を採択した。県立高校の教科書についても、国旗国歌法についての記述が問題視されて各地で教育委員会や右派系政治家からの排除・採択妨害策動が生まれた実教出版日本史教科書(2013~16年度使用版)について、千葉県でも採択を妨害するような策動があった。

 また県立高校1年での道徳の時間を2013年度から導入し、「日本教育再生機構」の掲げる復古思想とも歩調を合わせているとも指摘されている。

 森田県政のおこなってきた教育施策には問題があり、この路線は改められるべきだと考えられる。しかし県政を改めるといっても、どのように改めるかが問われる。問題がある路線から決別しても、改めた方向の行き先には別の重大な問題があるようでは困る。住民のためになるような路線に変えるよう求めていくことが望まれている。

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