給付型奨学金制度導入へ、しかし引き続き課題も

 政府は2018年度以降、大学などに通う学生に対して給付型奨学金制度を導入する方針を決めた。

 文科省所管の日本学生支援機構の奨学金は貸与型だった。「教育ローン」とも批判されるほど卒業後の返済負担が重くのしかかり、家庭の経済状況や大学卒業者の雇用状況の悪化などの要因も加わり、深刻な社会問題となっていた。

 給付型奨学金を制度として導入したこと自体は、一歩前進といえるのかもしれない。しかしその一方で、制度設計が不十分すぎて、とりあえずポーズだけ作った状態になってしまっているのではないか、必要な人にはほとんど行き渡らない危険性があるのではないかという状況も同時にある。今後も抜本的な制度改善が望まれる。

 文科省の案では、対象は1学年あたり2万人程度となっている。大学等への進学者は毎年60万人前後いることを考慮すると、また日本学生支援機構の奨学金の利用者は全体で132万人(2016年度)いることを考慮すると、規模が小さすぎるのではないか。

 また各高校から在籍高校の成績などをもとに対象者の推薦をおこない、大学進学後の成績によっては打ち切りや返還請求などもあるとしている。推薦や成績などの基準は追って具体化するとしている。

 これについても、2万人を全国約5000高校に、少なくとも各学校1人以上割り振られるように配分するとしているが、1高校あたりの枠が小さすぎることで過剰な競争等が生まれるのではないかという不安もある。

 また大学進学後の成績での打ち切りや返還請求についても、現行の貸与制奨学金制度での返還免除制度と本質的には変わらないという指摘もされている。必要な学生が安心して奨学金を受けられない状況も残る。

 これらの課題を解決するための対策と制度拡充が望まれる。