高校剣道部員熱射病死亡事件、元顧問への求償権行使命じる判決

 大分県立竹田高校で2009年8月、剣道部の練習中に部員の男子生徒が熱射病で死亡し、背景には顧問教諭らの不適切指導があった事件で、死亡した生徒の両親が大分県に対して、大分県が生徒側に支払った損害賠償金の一部を元顧問教諭・副顧問教諭に求償するよう求めた訴訟で、大分地裁は12月22日、訴えを一部認めて県から元顧問に約100万円を求償するよう命じる判決を出した。

 2009年8月に発生した事件は、練習中に体調不良の徴候を示していた生徒に対して、元顧問教諭らが「気合が入っていない」として練習続行を強要させたり、たたくなどの暴力行為もあったとされている。生徒は倒れて病院に搬送されたが、熱射病で死亡した。

大分県立竹田高校剣道部死亡事件
大分県立竹田高校の剣道部で2009年、体調不良の兆候を示していた生徒に対して顧問教諭が適切な対応を取らずに平手打ちなども加え、熱射病で死亡し...

 元顧問教諭らは書類送検されたものの、刑事事件としては不起訴処分になっていた。

 生徒の遺族が大分県や元顧問教諭・副顧問教諭個人を相手取って訴えた損害賠償訴訟では、学校を管理する大分県に対して2755万円の損害賠償を命じる判決が確定した。一方で教諭ら個人については、国家賠償法の規定を理由に個人は賠償責任を負わないとして退けた。

 生徒の遺族側は、個人の賠償責任が問われないことを問題視していた。今回の訴訟は、大分県から元顧問教諭らへ求償権を行使するよう求めたものとなる。

 この裁判の判決では、元顧問教諭は保健体育科の担当で、授業で熱中症対策も教えていたことを指摘し、生徒が練習中に意識障害を起こして竹刀を落とすなどの異変について「放置すれば死亡の危険が高いと容易に認識できた」と認定した。さらにその後の平手打ちなどの暴力は、状態を悪化させる不適切な行為で重過失にあたると判断した。

 そのうえで、保険で対応した額を差し引いた大分県の実質負担額200万円の半額にあたる100万円を、大分県から元顧問教諭に求償するよう命じる判決を出した。元副顧問教諭への求償権行使請求は認めなかった。

 原告側弁護団によると、刑事事件にならなかった部活動での不適切指導をめぐって、教師の賠償責任を認めるのは極めて異例だという。

 刑事事件としては対応できなかったとしても、この件をめぐる教員らの行為は、故意ないしは重過失と認められうるような極めて悪質な行為である。今回の判決では、十分とはいえないながらも、法的な責任を認めたことになった。

 顧問教員の対応は異様なものだとはいえども、特異な個人が特異な条件のもとで起きた事案ではない。たまたま死亡や大きなケガにつながらなかっただけというような程度の軽重はあっても、似たような不適切指導事件や「体罰」事件は、マスコミで報道された範囲だけでも、この事件以降も時々発生している。

もっとも、このような事件を再び起こさせない体制を作ることが、今後求められているといえる。

(参考)
◎剣道部員死亡、元顧問にも賠償責任 大分地裁判決「重過失あった」(西日本新聞 2016/12/23)

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