奨学金を理由とした自己破産、5年間で延べ1万5000人と指摘される

 朝日新聞2018年2月12日付に『奨学金破産、過去5年で延べ1万5千人 親子連鎖広がる』が掲載された。

 日本学生支援機構の大学奨学金が返済できず自己破産に追い込まれるケースが延べ1万5000人となっているという。

 日本学生支援機構のシステム上、同一人物が学部と大学院でそれぞれ奨学金を借りても重複でカウントされるというが、日本学生支援機構では実人数は延べ人数の8割前後ではないかとみている。

 自己破産の理由については、日本学生支援機構では、個別事例について立ち入って調査できないので不明としている。

 一方で、学費の値上がり傾向が止まらずに貸付額が増加していること、非正規・不安定雇用の増加、機構による奨学金回収の強化といった要因が、背景にあるのではないかとも指摘されている。

 現行の奨学金制度はもはや「教育ローン」とも揶揄されるほどになっている。進学希望者も、卒業後の返済の不安を考えて奨学金受給をあきらめるケースもあるという。奨学金を借りられてもこのようなことになるケースが増加するのも、ある意味では必然的になっている。

 「借りた金は返す」という一般的な道徳論の話はともかく、それ以前の話として、教育の機会均等を保障する手立てのひとつとなる奨学金制度が十分に機能していないということになる。能力があっても、家庭の経済事情で有能な人物に学ぶ機会すら与えないというのなら、社会にとっても大きな損失になる。

 政府は給付制奨学金制度を導入したものの、対象者は出身高校から1人程度とかなり狭い枠となり、候補者を絞る実際の作業にあたる高校の担当者を悩ませている。またこれまでの貸与制奨学金についても、遡及して救済する手立てを考える必要があるということにもなる。