大阪市北部児童相談所増設問題「マンション児相」断念へ

 大阪市北部の児童相談所増設問題で、吉村洋文大阪市長は12月19日、設置候補地としてあげていた北区の分譲マンションで区分所有者へのアンケートを実施したところ、住民からの反対が圧倒的に多く、児童相談所の設置や設置に必要な改装への同意が得られない見通しになったとして、同地での設置を断念して別の候補地を探す方針を発表した。未利用の市有地の中から適切な場所を選定することにしている。

 これに伴い、2018年度を予定していた児童相談所の開設は1~2年程度遅れる見込みとなった。

 大阪市では従来、児童相談所は中央区森之宮の1ヶ所だけだったが、市内での児童虐待事件が大きく報道され社会問題化したことや、発生・通報件数そのものも増加したことを背景に、児童相談所の増設が計画されていた。市内南部には2016年、平野区瓜破に児童相談所を設置した。

 続いて市内北部の7行政区を管轄する児童相談所の開設を検討していた。大阪市は数カ所を候補地として検討したものの、北区の分譲マンションを第一候補地としてあげた。このマンションでは大阪市がマンション低層階の一部を所有している。以前は老人福祉関係施設が入居していたものの、施設が廃止されて現在は空きスペースとなっている

 しかしマンション住民からは、児童相談所に対して疑問の声が起きた。「自分のところに迷惑施設がくるのに反対」といういわゆるNIMBY問題として矮小化されるのは誤りである。住民は、日照や運動場のなさなど、児童相談所に収容されることになる子どもたちにとっても環境が良くないのではないかとも指摘していた。

 相談件数の大半は人口の多い東淀川区と淀川区で占め、このうち淀川区には体育館もあるような元市施設跡地があり、市の構想では第二候補地以降に下げられたものの、その元施設を改修するほうがマンション改装より設置費用も安くつくし、相談者の利便性もあり、また駅からの距離も北区のマンションと大差ないなどと指摘された。

 テレビニュース番組での特集や、大阪市議の議会質問でも、それらの疑問点が度々指摘されてきた。

 一方で、市政与党の維新市議の言いがかりがひどい。これは、維新大阪市議でも特に暴言常習者の、井戸正利市議(都島区選出)のツイッター。

背景に過去の大阪市の〇〇利権を思い浮かべてしまう。」や「地元住民に反対させて維新の児童相談所多数設置を失敗しさせようとする」とか、言いがかりも甚だしい。住民にとって何が重要かということを考えず、また自分たち維新の考えたことがすべて・少しでも反対するのは何か悪い思惑があると言わんばかりの、ほとんど陰謀論レベルの内容である。ひどいにも程がある。

 このような状況になったのは、特定政治勢力の足の引っ張りが原因ではない。大阪市政が各方面からていねいに検討しなかったことで、不適切と思われる選択肢に固執した形になったのが原因である。

 維新市政の強引さと無策によって児童相談所設置時期が遅れることにはなったものの、適切な設置場所などの再検討が求められている。

(参考)
◎大阪市:「マンションに児童相談所」断念(毎日新聞 2016/12/19)

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