山川出版高校日本史教科書、「集団自決」記述10年ぶりに一部復活

 2017年度以降に使用される山川出版社の高校日本史教科書『詳説日本史B 改訂版』で、沖縄戦の「集団自決」(強制集団死)の記述が2007年以降10年ぶりに復活することが、11月30日までにわかった。

 2007年3月に結果が発表された2006年度高校教科書検定では、沖縄戦の「集団自決」は軍命によると示す記述に検定意見が付き、各社とも当該記述の削除・修正を余儀なくされていた。この背景には、「集団自決」を否定する右派勢力の策動があり、大江健三郎氏の著作『沖縄ノート』をめぐる「岩波・大江訴訟」とも結びついていたと指摘されている。その後、「集団自決」に関するその検定内容は、中学校教科書検定にも波及した。

 歴史研究者や沖縄県の住民の運動などもあり、「集団自決」の記述については、「追い込まれた」などの遠回しな表現までなら認められるようになったものの、強制性を直接示す記述については教科書検定で検定意見がつく状況が続いている。

 山川出版社の最新版教科書では、2016年3月に結果が発表された検定の際には、「集団自決」の記述はなかった。2016年9月5日に山川出版社から訂正申請が出され、文部科学省が10月3日に承認した。

 沖縄戦の解説をおこなうコラムで、従来の「激しい地上戦となり、おびただしい数の犠牲者を出し」となっていた記述に追加を実施し、「激しい地上戦となり、「集団自決」に追い込まれた人びとも含めおびただしい数の犠牲者を出し」と追記する形で変更した。

 「集団自決」に「追い込まれた」というぎりぎりの表現で、軍命や強制性を明記するには至っていない。しかしそれでも、一切記述がなかった状況よりは一歩前進であろう。当該教科書は日本史教科書では約6割の高いシェアをもち、大学受験の際には入試問題作成の際に出題者が参考にするといわれる。それだけに、記述されたことの影響は大きいといえる。

(参考)
◎教科書に沖縄戦「集団自決」 10年ぶり復活 日本史最大手の山川出版(沖縄タイムス 2016/12/1)
◎山川出版「集団自決」を追記 詳説日本史B、文科省に訂正申請(琉球新報 2016/12/1)

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