2018年センター試験「地理B」にムーミン登場

 2018年度大学入試センター試験の「地理B」で「ムーミン」が出題されたと話題になっている。一部には「解けないのではないか」という批判も。

 ノルウェー・スウェーデン・フィンランドを題材とした大問「第5問」。高校生「ヨシエさん」がこの3カ国を旅行してリポートにまとめたという設定で、自然・産業・使用言語など地誌的な内容について問われる問題となっている。その中の問題のひとつとして、ムーミンが登場している。

2018年センター試験「地理B」問題

2018年センター試験「地理B」問題

ヨシエさんは、3カ国の街を散策して、言語の違いに気づいた。そして、3カ国の童話をモチーフにしたアニメーションが日本のテレビで放映されていたことを知り、3カ国の文化の共通性と言語の違いを調べた。次の図5中のタとチはノルウェーとフィンランドを舞台としたアニメーション、AとBはノルウェー語とフィンランド語を示したものである。フィンランドに関するアニメーションと言語の正しい組み合わせを、次の1~4のうちからひとつ選べ。(解答番号28)

スウェーデンを舞台としたアニメーション ニルスのふしぎな旅
スウェーデン語 Vad kostar det?(それいくら?)

図5【アニメーション】(タ)ムーミン、(チ)小さなバイキングビッケ
【言語】(A) Hva koster det? (B) Paljonko se maksaa?

1 アニメーション(タ)、言語(A)
2 アニメーション(タ)、言語(B)
3 アニメーション(チ)、言語(A)
4 アニメーション(チ)、言語(B)

想定されている正答は、2となる。

 アニメーションについては、アニメーションそのものを知らなくても、バイキングでノルウェーと連想できるかがカギとなる。ヴァイキングはノルウェーだけでなく、デンマークやスウェーデンなど広範囲にかかる概念ではあるが、デンマークは出題対象になっていない・スウェーデンはすでに文中で示されているので、消去法でノルウェーが残る。「ムーミン=フィンランド」という、高校地理の範囲を超えた雑学の知識がなくても解ける。

 また言語については、語族の分布の関係で、ノルウェー語とスウェーデン語は同じゲルマン語族の一方、フィンランド語はウラル語族で周辺と比較して独自の言語体系を持っているという教科書レベルの知識を踏まえ、語学そのもののの知識がなくても、Aの言語はスウェーデン語と似ている・Bは全く違うということに気づけるかどうかがヒントとなる。

 問題作成者の意図については、おそらく上記の通りであろう。大学受験予備校の問題解説などでもそのような解法をとっている。

 しかしその一方で、「小さなバイキングビッケ」は必ずしもノルウェーが舞台ではないうえに、アニメの元になった原作はスウェーデンの児童文学であることで、ヘタにアニメに関する知識があると逆にややこしいかもしれない。

 一問一答の知識暗記型ではなく、知識を元に組み立てて考えさせるプロセスを踏む出題のやり方は、重要な方向性ではある。あまりにも凝りすぎたことで別の問題も指摘される状況になったのではないかとも推測される。