部活動:生徒への人権侵害の観点から

 『しんぶん赤旗』で2016年10月以降、『シリーズ 部活って何』と題する特集が掲載されている。「ブラック部活」ともいわれるようになった部活動の過熱化、教職員への過大な負担、部活動の中で起きる人権侵害など、多面的に検証している。

 2016年11月6日付では、高校時代に顧問教師から暴力を受けて不登校になった男子生徒のケースについて、両親の証言を元に構成している。

 記事で紹介されているケースは、岩手県で高校時代にバレーボール部で暴力や暴言を受けたと訴え、2015年9月に民事訴訟を提訴し係争中だという。記事が描く状況からはおそらく、11月上旬に岩手県議会で明らかにされた、県立高校バレーボール部顧問の暴力事案の訴訟と同一ではないかと思われる。

在学中の教師の暴力行為でPTSD発症、元生徒が提訴:岩手
 岩手県盛岡市内の県立高校在学当時の2008年、当時のバレーボール部顧問教諭(当時30代)から繰り返し暴言や暴力行為を受け不登校になり、心的...

 記事では、元気がなくなり学校への足が遠のくなどの異変を見せた息子の様子を変だと思いながら、バレー部の顧問の暴力行為が原因だとは想像もできず、他の原因を探し回ったこと、また「息子が弱いんじゃないか」「育て方が悪かったんじゃないか」と寄り添うことができなかったことを後悔しているとする、両親の証言が記載されている。

 そのうえで、「『なんでも話し合える親子関係があれば気づくはず』という評論家もいます。でも、子どもはサインを出すどころか必死に隠そうとすると思うんです」と指摘している。

 顧問教諭は当初は暴力は否定したが、裁判の場では暴力行為や暴言をおこなったことについて詳細に話したという。机を叩く、鍵を壁に投げつける、怒鳴りつける、「お前は駄馬。駄馬がサラブレッドに勝てるわけねえんだ」などと暴言を吐くなどしたことを認めた上で、「諦めずに練習するようにとの思い」「気合を入れるため」などと正当化した。これについても両親側は「根本的に間違っている」と訴えている。

 顧問教諭の行為は、人格否定と言ってもいいような恐ろしいものである。しかしその一方で、同じような行為をする部活指導者は頻繁に発覚している。毎月のようにその手の指導者の行為が報じられているという印象を受ける。

 生徒に暴力でケガをさせたり精神症状発症に追い込むなど、正常な教育でもなければ部活指導でもない。暴力であり人格否定・人権侵害である。このような事態は、すぐにでもなくさなければならない。

 また、被害者やその周辺が被害を訴えても、当該の暴力指導者の指導を肯定する保護者・地域住民や部活指導者仲間などが、被害者側に対して「部活動についていけなかった逆恨み」「部活動の秩序を乱す妨害者」などとそれこそ逆恨みでの因縁をつけて、被害者を攻撃して二次被害を与えることも珍しくない。その手の暴力や暴言が「指導」という発想から離れなければならない。そういう発想にしがみつくようでは、あえて極端な表現をすれば「指導者を頂点とした部活カルト」と厳しく批判されるべきものではないか。

 部活動をめぐる問題は多岐にわたっているが、生徒への人権侵害についても、早急に改善しなければならない。