私立高校剣道部顧問の暴力、無罪判決破棄・審理差し戻しに:東京高裁

 千葉県浦安市の私立東京学館浦安中学校・高校で2012年、顧問を務める剣道部の指導中に当時高校1年だった男子生徒を殴りケガをさせたとして傷害罪に問われていた同校の柴田昌和教諭(38)の控訴審判決が9月30日に東京高裁でおこなわれた。同教諭を無罪とした一審千葉地裁判決を破棄し、審理の差し戻しを命じた。

 事件は2012年6月に起きた。剣道場で練習終了の合図を示す太鼓をたたく係だったこの生徒に対し、教諭は「太鼓をたたく回数が違う」などとして、剣道の防具のコテをはめたままこの生徒の口元付近を殴りつけてケガを負わせた。

 教諭は書類送検され、千葉地検が2015年3月に在宅起訴していた。

 教諭は「記憶にない」などとして無罪を主張した。一審千葉地裁では、被害生徒本人の被害訴えや他の生徒から複数の目撃証言があったことについて「教諭がこの生徒を殴った回数や態様にばらつきがある」などとして、被害生徒の訴えの信用性を否定して無罪としていた。被害生徒が被害箇所を撮影した証拠写真についても「暴行を直接認定する証明力はない」と判断していた。

 東京高裁では一審判決を破棄し、被害生徒の説明は具体的と指摘し、一審判決で証拠が不自然と判断したことについて「十分な根拠が示されていない」として、被告側に有利とされる証拠も含めて全面的に審理をやり直すように命じた。

 逆転有罪とまでは踏み込まなかったのは不十分だが、一審判決の著しい不自然さを指摘したのは大きな前進だといえる。暴力を加えたという証言がありながら、ささいなことに難癖をつけて証言の信用性を否定し、暴力・「体罰」はなかったかのように印象付けようとするような一審判決は、とんでもないことである。

(参考)
◎生徒殴りけが 教諭の無罪取り消し審理やり直し命ず(NHKニュース 2016/10/1)
◎一審無罪、審理差し戻し 学館浦安の剣道部教諭傷害 東京高裁(千葉日報 2016/10/1)