「世界史A」一部単元学習漏れで補習へ

 東京都立両国高校(東京都墨田区)で「世界史A」の一部単元の学習漏れがあり、在校生に補習をおこなう方向で対応することがわかった。

 同校では1年時に「世界史A」を必履修科目としている。「世界史A」では前近代の世界史については簡略に扱い、主に16世紀以降の近現代史について学習することになっている。同校では歴史の流れをしっかりと把握させたいとして発展学習的に前近代についても取り扱ってきたが、2012年度以降の学年について、本来履修することになっている第一次世界大戦以降から冷戦終結にかけての歴史の授業時間が足りなくなり、23時間分の授業ができていなかったという。

 2016年7月に保護者から指摘があり、東京都教育委員会が調査して判明した。在校生には23時間相当分の補習を実施するなどの対応をおこなうという。

 NHKニュースでの報道によると、大学受験対策が行き過ぎたことで授業時数が足りなくなったかのようにも読める報道となっている。高校のカリキュラムでは「世界史A」「世界史B」のうち少なくとも1科目を含み、日本史か地理の少なくとも1科目も加えて、計4単位以上履修することになっている。A科目は2単位・B科目は4単位だが、大学受験ではB科目が受験科目になる場合が圧倒的に多い。一方で高校のカリキュラム上B科目ばかり開講する時間的余裕がなく、A科目を必修として履修させたうえで、受験用の選択科目としてB科目を開講することも多いという。

 大学受験という意味だけではなく、歴史学習としても「世界史A」では前近代が極端に簡略化されていることで、前近代の理解に支障をきたすのではないかという判断は理解できる。

 その一方で、同じ事案を報じる産経新聞の報道に目が止まった。産経新聞では「保護者から「授業内容が偏っている」と指摘を受けて判明。」としている。産経新聞にとって「偏っている」とする対象を考えれば、政治的な意図に基づく抗議が背景にあったのではないかとも解釈できる。

 真相は報道の範囲でしかわからないが、少なくとも、歴史の場合は教科書が終わらないという事例は昔から珍しくなく、ここだけが問題視されたのは不審ではある。

(参考)
◎都立高で世界史の学習漏れ 平成24年度から(NHKニュース 2016/9/23)
◎両国高、世界史A「内容不足」で補習へ(産経新聞 2016/9/24)