読書録:『教育勅語を読んだことのないあなたへ』

 『教育勅語を読んだことのないあなたへ―なぜ何度も話題になるのか』(佐藤広美・藤森毅著、新日本出版社、2017年12月)を読みました。

 2017年は一連の森友学園問題発覚の影響で、「教育勅語」をめぐる問題が国会で取り上げられ、注目されました。

 森友学園では、教育勅語暗唱などを軸にした教育をおこなっていたことが指摘されました。国政や大阪府政での一部政治家がそういった教育方針を支持してきたことが、森友学園が設置を目指していた小学校「瑞穂の國記念小學院」をめぐる一連の国有地不適切取引や、大阪府での強引な学校設置「条件付き認可適当」答申につながっているとも指摘されてきました。

 このことを背景に、教育勅語の背景について探っています。

 では、そもそも教育勅語とは一体どういうものなのでしょうか。

 この書籍では教育勅語の内容を、戦前に使われてきた解説書などを元にひもといています。

 教育勅語で示されている徳目については、「個々の徳目では良いことを書いている」論があります。しかし個々の徳目は、すべて天皇への忠誠を軸にしての上下関係に基づくもので、現代社会にはふさわしくないものだということを、戦前の解説書の内容を引きながら明らかにしています。例えば教育勅語の「夫婦相和し」は、夫は妻を守り、妻を無能力者とする前提であることなどが、戦前の解説書に記載されていたとのこと。

 また教育勅語の発足から浸透の過程、そして国会での「排除・失効決議」に至るまでの経過についても、歴史的に順を追って解明しています。

 そして2017年。戦後は右派政治家でも内閣としては公然と肯定できなかった教育勅語を、安倍内閣が容認に転じた過程についても、国会議事録を元に解明しています。

 この書籍は、教育勅語をめぐる背景を、平易な表現で詳細に解明している一作です。