「学び舎」教科書:執筆・編集の背景を追った毎日新聞記事

 毎日新聞2017年12月20日付に、「学び舎」中学校社会科歴史教科書の執筆・編集の過程を追った記事『憲法ルネサンス 歴史教科書づくり 暗記より考えながら学べる 現・元教員ら執筆、子ども側に立って』が掲載された。

 記事によると、「学び舎」の教科書は、中学校社会科での歴史教育が重要事項の暗記になっていることに疑問を持っていた社会科教員らが2009年に「子どもの側に立った教科書がほしい」と話したことがきっかけとなった。その後、自分たちの手で教科書を執筆することが具体化した。

 理念に共感する教員らが自ら資金を持ち寄って教科書会社「学び舎」を設立し、教員ら約30人が会合を重ね、検討の末に2014年に教科書を完成させた。

 「子どもの興味・関心の道筋に沿った教科書」「教科書での問いを、子どもたちが関心を持って自ら考え・調べ・学べる教科書」「歴史の事実を書いた教科書」を目指したという。

 2015年夏の中学校教科書採択(2016年度より4年間使用)では、公立中学校では採択がなかったものの、国立や私立の中学校38校で「学び舎」教科書が採択された。

採択校への抗議活動も

 一方で、この教科書は従軍慰安婦問題に触れていることなどから、「反日極左」的だとして、採択に抗議する組織的な動きも生まれた。

 「学び舎」教科書を採択した学校に対して政治家が抗議したことや、同一文面が印刷された抗議はがきが大量に届いたことなどが、複数のテレビ番組や新聞記事で報じられた。

 「学び舎」批判勢力と、育鵬社教科書支持勢力は、重なっているとされている。育鵬社とはグループ会社の関係にもあたる「産経新聞」は、「学び舎」教科書を名指しで批判するような記事を出したこともある。

改訂版発行の構想も

 当方でも現行の「学び舎」教科書に目を通したが、重要事項の暗記一辺倒にならないような工夫、無味乾燥な記述ではなく読み手を引きつけさせる工夫、子どもたちに考えさせる工夫、資料を充実させる工夫がなされていると感じた。

 歴史的な事実の記述も、ていねいにおこなわれていると感じるものである。

 記事では、2019年春に実施される次回教科書検定に、改訂版を出す方向で準備していることも紹介している。改訂版が発行されるのなら歓迎である。

 一方で、前回教科書採択に際する極右派の動きを考慮すると、改訂版を出す際にも前回と同様に、中傷や抗議活動が激化することも予想される。

 「歴史戦」などと称しての政治的イデオロギー押しつけありきの勢力に対しては、「子どもの学び」と「歴史的事実」の2つにそれぞれ立脚して、不合理な中傷や抗議活動に対処していくことになるだろう。