高校漁業実習船生徒暴行事件「学校に責任ない」:宮崎県

 宮崎県立宮崎海洋高校の実習船で2015年、漁業実習の船内で男子生徒が別の男子生徒2人から繰り返し暴行を受け、適応障害を発症し転校した問題に関連して、宮崎県が被害生徒側の質問書に対して「学校に責任はない」などと回答していたことがわかった。

 事件は2015年9~11月、太平洋上で漁業実習中の船内で発生した。被害生徒は加害生徒から繰り返し暴行を受けた。引率の教職員らは暴行の事実を把握したものの、加害者と被害者とを別の部屋にしなかったなどの問題が指摘されている。教職員等による暴行事件の把握後も、再び暴行事件が起きていたことも指摘された。

 実習終了後、被害生徒は適応障害と診断され、転校を余儀なくされた。加害生徒は傷害容疑で宮崎県警に逮捕され、傷害の非行事実で宮崎家裁に送致された。また学校側も加害生徒を退学処分にした。

 両親側から「事件発覚後も部屋を別々にしなかったこと」など17項目を問う質問書は2016年6月24日付で宮崎県に提出され、代理人弁護士を通じて同年8月1日付で回答があったという。

 回答には「学校に責任はない」「訴訟等となった場合、(被害生徒)自身の責任を問題とする予定」などと記載されていた。また、部屋を別々にしなかったことについては「被害生徒が大丈夫と答えた」などを理由にあげている。

 河野俊嗣宮崎県知事は8月30日、報道陣の取材に対して、質問書への回答について「法律上の表現で、法的には責任がないという意味。弁護士の法的な整理としての認識、法律専門家としての表現だった」とする見解を示したうえで、いじめ・暴行への対応については「学校側の対応に問題があり、改善に取り組んでいる。当該の生徒・保護者にはていねいに対応したい」とした。

 事件発覚後も部屋を分けなかったことなど、いじめ・暴行事件への教育的見地からの対応としては明らかに不適切でまずいといえるものである。そのことは結局、学校側の不適切対応にほかならず、法的にも不適切と判断される可能性があるのではないか。巧妙な表現ながらも、学校および宮崎県の責任をかわしていると受け取られてもおかしくないのではないか。

(参考)
◎宮崎海洋高実習船暴行 県「学校に責任ない」(読売新聞 2016/8/28)
◎宮崎海洋高の実習船暴行 県「学校に責任ない」 被害者側に回答 /宮崎(毎日新聞 2016/8/31)
◎暴行「学校に責任ない」は法律の表現…知事認識(読売新聞 2016/9/1)

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