山形マット死事件:賠償金支払い拒否した元生徒2人に改めて賠償命令

 山形県新庄市立明倫中学校1年だった男子生徒が1993年1月、体育館用具室の体操用マットに体を突っ込まれた状態で死亡しているのが発見され、上級生らからのいじめ・集団暴行の疑いが指摘された「山形マット死事件」について、遺族が加害者とされる元生徒7人のうち3人に対し、確定した民事訴訟の損害賠償金計約5760万円の支払いを求めて再提訴した訴訟で、山形地裁は8月23日、差し押さえ手続きが取られた1人を除く残りの2人に対し、利息分を含めた計約1億2724万円の賠償金支払いを命じる判決が下った。

 この事件では、被害者一家が転入者・幼稚園を経営し裕福とみられていた・標準語を話すことなどから、被害者へのいじめがあったことが指摘された。一方で地域ぐるみの隠蔽と加害者擁護・被害者攻撃があったことも指摘された。

 マスメディアの取材や研究者のフィールドワークに対して、地域の人が「死んだのは大したことがない」と受け取れるような発言など被害者一家への中傷を繰り返したことや、学校関係者を名乗った複数の人物から「騒ぎ立てるな」などと抗議を受けたこと、加害者とされる生徒の身内の子どもが被害者の妹を取り囲み「お前の兄ちゃん死んでうれしいか」などと罵倒したことなどが指摘された。

 刑事事件での初動捜査の問題もあり、加害者とされる生徒やその周辺からは「冤罪説」も根強く主張されている。

 関与した7人の生徒が逮捕・補導されたものの、3人が不処分・3人が事件に関与したとして保護処分・残る1人が児童福祉司指導処分となった。保護処分となった3人は処分を不服として抗告したが、抗告の対象とはなっていない生徒も含めた7人全員の関与を認定したうえで抗告棄却が確定している。

 被害者側が起こした民事訴訟で、加害者とされる生徒の損害賠償責任が2005年に認められた。しかし全員支払いを拒否したため、4人に対して差し押さえ手続きがされた。残る3人については勤務先不明などで差し押さえ手続きができず、請求権の時効による消滅(10年)を前にして再提訴していた。

 2人はこの訴訟でも、改めて「事件そのものが無実」と訴えていた。

 事件から23年半経つが、被害者遺族のこれまでの苦しみは、察するに余りある。法的には一つの区切りにはなるといえども、心情的には辛い状態には変わりないと察する。

(参考)
◎マット死、元生徒2人に再び賠償命令…山形地裁(読売新聞 2016/8/23)
◎中1マット死、元生徒に改めて賠償命令 山形地裁(朝日新聞 2016/8/23)
◎中学生マット死事件 元上級生などに改めて賠償命じる(NHKニュース 2016/8/23)