甲子園大会応援のために吹奏楽部大会出場断念は「美談」か?

 甲子園大会に出場している九州のある高校の吹奏楽部が、甲子園大会と日程が重なるとして、吹奏楽コンテスト大会出場を断念して甲子園スタンドでの野球部の応援演奏を選んだとする記事が、西日本新聞に掲載され、ウェブ配信(2016年8月16日付)もされている。

 記事によると、野球部が甲子園大会への出場を決めた2016年7月下旬、「吹奏楽コンテスト大会は8月11日に実施される。甲子園大会の野球応援と重なる」として、職員会議でも吹奏楽部内でもどちらを取るかで話し合いになったという。

 職員会議では吹奏楽大会出場を優先させたいとする意見が多数を占め、また吹奏楽部内でも大会に出たいという声も強かった。しかし最終的には吹奏楽部内での話し合いで、吹奏楽大会を断念し、甲子園での応援を取ることを決断したという。その決断を顧問教員に伝えた時の、吹奏楽部部長の目は真っ赤だったという。

 西日本新聞ではこの経過を、「しかし演奏がなければチアリーディングもできず、応援が一つにならない」などと書き、最終的に選択したと、美談ととれるような書き方で掲載している。

 いかにも日本社会での一部ではもてはやされそうな経過ではあるが、これを「美談」と一面的に扱うわけにもいかない。

 部活動をめぐる問題点が現れているという気がしてならない。甲子園大会を神聖視し、野球部と吹奏楽部との間に格差をつけ、吹奏楽部にとっては最大の目標だった吹奏楽部の大会出場を断念させて当然とばかりの対応には、疑問を感じる。高校野球の主催者側は高校野球を「教育の一環」とも掲げているが、応援に出させるために無関係な生徒を犠牲にさせるといった、こういう措置が教育的とはとても思えない。

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