大阪市育鵬社教科書問題、教科書アンケート不適切集計は市教委課長の決裁

 大阪市の2015年教科書採択での教科書アンケート不正問題に関連して、「子どもたちに渡すな!あぶない教科書 大阪の会」が8月10日に大阪市教委と交渉をおこなった。

 この事について、同会のブログに交渉内容の報告が出ている。(同会ブログ『8月10日の大阪市教委との交渉の報告』)

 この問題では、大阪市が教科書採択にあたって実施した、教科書展示会会場で来場者を対象に教科書に関する意見を尋ねるアンケートについて、日本教育再生機構ともつながりがある人物が会長を務める住宅販売会社「フジ住宅」(大阪府岸和田市)が育鵬社との連携のもと、勤務時間中に従業員を動員し、育鵬社教科書を採択するよう求めるアンケート書面を会場で書かせ、また会場からアンケート用紙を会社に持ち帰り後日再び会場に行って投函するなど、組織的に大量に投函したことが指摘されている。

 育鵬社はフジ住宅に対して「アンケート結果が教科書採択を左右する。育鵬社支持の意見が多いほど採択されやすくなる」とする情報を提供したという。大阪市教委事務局はアンケートの集計の際、ほぼ同一の文面で筆跡も酷似しているアンケート回答が多数あることに気づきながら、そのまま集計したうえで「育鵬社支持の意見が7割あった」と発表したことが指摘されている。

 8月10日の交渉では、主にに3点について交渉がおこなわれたとのこと。

 1点目、大阪市会教育こども委員会で決議された第三者委員会を設置しての調査については、大阪市教委からは「まだ具体的な内容は決まっていない」ということ。

 2点目、教科書選定委員を務めた吉田康人住吉区長が、日本教育再生会議とのつながりが指摘されている問題については、大阪市教委としてはまだ調査していないとの回答。

 3点目、教科書展示会会場で集められたアンケートの集計方法については、従来は「集計の現場責任者の指導主事の判断」と説明されてきたが、指導主事の上司にあたる課長の決裁を得ていたことが明らかになったという。

 全体としてはこれまでの内容の繰り返しだが、教科書展示会アンケートの不適切集計については、教育委員会が組織的におこなったものだという疑いがさらに深まった形になっている。

 「子どもたちに渡すな!あぶない教科書 大阪の会」は交渉を受け、大阪市教委に再質問書を提出した。

 再質問書では、教科書アンケートの集計については以下のようなことを指摘している。

私たちは、アンケートの実施方法(重複を禁じているかどうか、監視役を置いていたかどうか、記名させたかどうか等)を問題にしているのはない。特定の教科書に対して多重投票があったことを認識していながら、その賛否数のみを数値集計し公表したことの問題性を指摘してきたのである。

 大阪市教委はこれまで、市会委員会での答弁では、「システム上重複回答は避けられない」「アンケートを記入する市民を監視する形になってはまずいので、監視役を置くわけにはいかない」などと主張してきた。しかしそんなことを求めているわけではないという「会」の指摘には、全く同意するものである。

 重複回答自体は避けられないとしても、ほぼ同一の文面、しかも酷似の筆跡のものが何十枚もあり、しかも集計担当者がそのことに気づいて申告すると重複分をそのまま集計するように組織的な指示を出した、このことが問題ではないか。

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