維新の危険な「箕面維新八策」:大阪・箕面市

 2016年8月21日投開票の大阪府箕面市長・箕面市議選挙。現職市長は大阪維新の政策への理解を示し、自民党と維新がそれぞれ推している状況となっている。現職に対して、共産党や無所属議員などが推す新人が挑む構図となっている。また市議選挙も同時におこなわれることで、各会派とも議席の維持・拡大を目指している。

 箕面市での選挙に向けて、大阪維新の会が「新・箕面維新八策」と題して、とんでもない内容の宣伝物を出したという。

 ビラの中身を読むと、「教育改革」として「自虐史観を排し、子どもたちが我が国の歴史に愛情を深める教科書の採択に努める」「施設一体型小中一貫教育、ふるさと教育、道徳教育の推進」「箕面学力・体力・生活状況総合調査(ステップアップ調査)の、教職員の人事評価への反映」「校長は民間企業や若手教員から、マネジメント力が高い人材を公募」「保護者責任の明確化…家庭教育の充実、虐待の未然防止」、また「行財政改革」として「幼稚園・保育所・学校給食調理・ゴミ収集等で、徹底した民営化の推進」などと記載されている。

 ビラでは、ここで紹介したもののほかにも多数の施策を記載しているが、教育・子育て分野だけをみても、こんなものを持ち込まれたら大変なことになるというものばかり。大阪府や大阪市ですすめられてきて大きな混乱を巻き起こしている路線を、箕面市にも持ち込むものとなっている。

 教科書採択問題については「自虐史観を排し」と独特の用語を使っていることから、極右派勢力が「自虐史観」として攻撃するような通常の教科書ではなく、育鵬社などの教科書を採択するよう求めているということが読み取れる。それに関連して道徳教育についても、極右派のいうような一方的な価値観の刷り込みが前提になっているとみられる。

 箕面市では2015年教科書採択では育鵬社教科書採択は避けられたものの、今後政治的な動向次第によっては、次回教科書採択の際には育鵬社採択が狙われる危険性が浮上する。

 学力等の調査を教職員の人事評価へ反映するとなると、調査によって得られた数値や平均点を一面的に扱うことでの教師間・学校間・地域間の競争につながる。学校現場が本来おこなうべき「ひとりひとりの子どもの能力を総合的に伸ばすことを目指す」という視点が置き去りにされ、人事評価にとって都合がいいような数値だけを一面的に上げるための競争や足の引っ張り合いなどが生まれてしまう。授業などは、狭い意味でのテスト対策に一面化される危険性がある。それどころか最悪の場合、教師が成績の振るわない児童・生徒、すなわち自分の勤務評価を落とすとみなした児童・生徒をいじめるきっかけになったりなどの、恐ろしい状況も生み出しかねない。

 これでは教師間だけではなく、教師と子どもの間にも、また子どもどうしでも、また学校と保護者の間にも、それぞれ不信感を生むことにつながる。学校が、相互不信と足の引っ張り合いの恐怖空間になってしまうのではないか。

 校長の公募についても、維新市政によって先立って公募校長制度が導入された大阪市では、公募校長が問題を起こす率が極めて高く、それにともなって学校が混乱に陥って問題になっている。

 保護者責任の明確化などについては、「虐待の未然防止」といえば聞こえはいい。しかし「家庭教育の充実」とは何を想定しているのかははっきりしない。政治・行政が家庭に介入するとも受け取れるものである。

 大阪維新の会は2012年5月、大阪市議団が「親学」を背景にした「家庭教育条例」案を検討していたことが発覚している。当時、関連文書がインターネット上にリークされた。維新は流出文書は本物と認めたうえで、「議論のたたき台としての資料にすぎない」などと釈明して撤回を余儀なくされた。箕面市の事例でも、過去の大阪市での騒ぎや、ビラでの他の内容を総合すると、極右派とも親和性が高い「親学」をベースにした内容を想定しているのではないかと疑わざるをえない。

発達障害への無理解と偏見生む条例案
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 大阪維新の会が政治勢力を拡大することには、強い危惧を抱くものである。箕面市でも適切な判断を願うものである。またこの政治勢力は、現時点では大阪府とその周辺を中心に勢力を広げているが、「維新的なもの」は全国どの地域にも飛び火する恐れがあり、現時点では直接的に影響がない地域でも強い警戒が必要である。

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