大阪市学校選択制:中学校案内冊子に高校進学実績記載

 大阪市の学校選択制に関連して、24行政区中少なくとも21区で、中学校選択の参考として次年度に中学校入学を控えた小学校6年児童と保護者に配布される「学校案内」に、各学校ごとに卒業生の進学実績を記載する方針を決めたことが、8月2日までにわかった。

 東淀川区と西成区の2区は、8月2日時点では未定としている。浪速区では「学校規模適正化を優先する」として中学校選択制を導入していない。

 大阪市では行政区単位で学校選択制を導入し、「居住行政区と同じ区内の学校ならば自由に選択を希望できる」「指定されている進学先中学校と隣接する校区の中学校のみ選択できる」など具体的な選択方法については各区ごとに決めている。

 学校案内に卒業生の進学先高校名と進学者数を記載するのは、都島・福島・此花・西・港・大正・天王寺・淀川・東成・生野・旭・城東・鶴見・阿倍野・住吉・住之江・平野の17区。進学先高校名のみ記載し、各高校への進学者数は記載しないとしたのは、北・中央・西淀川・東住吉の4区。

 学校選択制は橋下・維新市政のもとで、市民からの強い反対や懸念の声を押し切って導入された。学校選択制では、児童・生徒と保護者が自主的に選択できるというメリットが推進者からあげられるものの、実際は不確かな内容が選択を左右する・人気校と不人気校の格差が生まれて固定化するなどのデメリットのほうが多いとして、全国的には導入した地域でも廃止や見直しが進んでいる。

 大阪市ではこれまでの学校選択制でも、学校選択制を利用して校区外の中学校に進学する生徒の率こそ少ないものの、学校選択制を利用した生徒については、区によっては「地域の進学校といわれる高校への進学者数が多い」といわれてきた中学校に希望者が多く集まるなどの傾向を示してきた。また、全国学力テストの学校平均点を各学校が公表してきた。学校平均点は生徒個人の到達状況や学力とは異なるものだが、同一視されて「学校平均点が高い=学力が高い」とみなされる傾向も生まれた。

 卒業生がどこの高校に進学したかを人数とともに明示することで、「地域で進学校とみなされている高校への進学者数=学力・学校の格」と一面的に扱われる風潮が加速する恐れも考えられる。

 このことで中学校が序列化され、中学生や教師を過剰な競争に無理やり巻き込んで疲弊させることにもつながる。また選択制を経なくても確実に入学するために、人気校とされた学校の校区には転入者が集中する一方で、不人気校とされた地域からは人が流出するなどして、地域社会にも悪影響を与えることにもつながるのではないのだろうか。

 学校選択制を導入したこと自体が問題ではあるが、各中学校ごとに進学先高校の名前と人数を明記して公表することは、デメリットを広げかねない。

(参考)
◎大阪市21区が進学実績を公表へ 学校選択制で市立中(共同通信 2016/8/2)

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