教科書比較パネル展、産経新聞や市議が否定的見解:横浜市

 横浜市戸塚区の市立戸塚図書館前ロビーで2016年6月に実施された、民間団体主催の中学校教科書の内容を比較するパネル展示「よくわかる教科書パネル展」をめぐり、産経新聞が非難記事をだし、自民党市議も呼応する形で「特定の検定済教科書を批判する政治活動に横浜市が関連施設を占有させている」などと問題視している。一連の顛末について、『神奈川新聞』2016年7月31日付が『「政治利用」それとも「表現の自由侵害」? 横浜・教科書パネル展』にまとめている。

 横浜市では2011年夏の教科書採択により、2012年度より中学校社会科で育鵬社の歴史・公民教科書が使用されている。2015年夏の教科書採択でも育鵬社版が引き続き採択され、2016年度以降4年間引き続き使用されることになっている。

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 パネル展は「教科書問題を考える戸塚区民の会」とパネル展実行委員会が主催し、育鵬社の教科書と他社教科書の記述を比較するなどの展示がおこなわれた。また公民教科書の記述について「高校受験、大学受験も不安」とする弁護士のコメントも紹介した。

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 それに対して産経新聞が2016年7月7日、「特定の主張を含む展示に、不特定多数の人が利用する場所を提供した市側の姿勢が問われそうだ」などと、不当な政治利用目的だとにおわせながら非難する記事を掲載した。

 横山正人横浜市議(自民)は産経新聞の非難記事に呼応する形で「展示は特定の検定済教科書を批判する政治活動」などとして横浜市に申し入れたという。同市議は「展示内容を問題にしているわけではない」と前置きしたうえで、「市の施設で特定の政治的主張がなされ、それを不特定多数の人が見れば、市が便宜を図っていると誤解される恐れがある。庁舎管理の問題」と主張した。

 横浜市は、「施設利用について画一的な基準を設けることは、表現の自由とのかねあいで問題になる」として慎重に対応するとしている。

 そもそも教科書の内容の比較検討は、教育問題の研究の範囲である。それとも、育鵬社の教科書の内容が客観的に知られると都合が悪いという自覚でもあるのだろうか。

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