大阪府立支援学校で生徒虐待か

 大阪府立難波支援学校(大阪市浪速区)で2016年4~6月、重度の知的障害を持つ高等部1年の男子生徒が、担任の男性教諭から複数回にわたって腕をたたかれたり投げ飛ばされるなどの暴行・「体罰」・虐待を受けていた疑いがあることが、7月20日までにわかった。

 また教諭はこの生徒に対して、障がいのために一人では食事がとれない状態にもかかわらず、給食の際に「給食を自分で食べろ。茶も自分で飲め」などとも発言したという。

 同級生が教諭の行為についてLINEで情報交換し、それを目撃した同級生の保護者が学校側に連絡して発覚した。またこの教諭は別の生徒に対しても「投げ飛ばすよ」「泣かすぞ。腹立つ」などと暴言を吐いたという訴えもある。大阪府教育庁が事実関係を調査している。

 男子生徒は左腕にあざが残るケガを負い、また心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断された。警察への被害届提出を検討しているという。

 重大な虐待疑惑であり、事実の可能性が高いといえるだろう。慎重な調査が求められる。

 一方で、知的障害児が「体罰」や虐待の被害者になった際、加害者の教師などは「知的障害だから被害を訴えられない」となめきり、被害者が被害を訴えても脅すなどして被害者の証言そのものを撹乱させることを図り、「被害訴えに整合性がない。知的障害児の訴えは信用できない」と自分勝手な論理を組み立てて自己正当化をおこなうことがよくみられる。

 1988年に発生した名古屋市立南養護学校の「体罰」・障害児虐待事件の状況が、この事件の状況とそっくりではないかという印象を受ける。

名古屋市立南養護学校「体罰」訴訟
名古屋市立南養護学校で1988年、中度の知的障害を持つ生徒が「体罰」の被害を訴えたが、学校側は暴行を否定。知的障害児の証言の信用性が争われた...

 名古屋市の事件では加害者が逃げ切った形になったが、この時のようなことを繰り返させてはならない。

 一方で2003年に発生した「浦安事件」――千葉県浦安市立小学校の養護学級担任教諭が担任クラスの知的障害児に性的虐待を加えた事件――では、加害者の教諭は「知的障害児の訴えは信用できない」と主張して逃げようとしたが、被害者側が訴えた民事訴訟では、刑事事件では十分に認定されなかった部分も含めて加害者教師の犯行を全面認定し、浦安市に損害賠償を命じる判決が確定した。

 教育現場以外でも、例えば「水戸事件」などが有名であるが、知的障害者への虐待を加えながら、加害者側は「知的障害者の被害訴えは信用できない」と主張して逃げようとした事例も多数起きている。

 今回の事件でも、加害者側が自己正当化のためにあらゆる手段を使ってくることも想定される。事実関係をていねいに調査しなければならない。

(参考)
◎知的障害の生徒を教諭が虐待か 大阪府立支援学校、投げ飛ばす(共同通信 2016/7/20)
◎重度知的障害の生徒虐待か 支援学校教諭が暴行、暴言「投げ飛ばすよ」 大阪・浪速(産経新聞 2016/7/20)
◎支援学校で男子生徒に体罰、大阪府教育庁が調査(読売新聞 2016/7/20)