「君が代」処分訴訟で元教諭の訴え認めず、起立斉唱強制の大阪府条例の違憲性も認めず

 大阪府立高校の卒業式で2013年、「君が代」に起立・斉唱しなかったとして減給処分を受けた元教諭(定年退職)が処分の取消などを求めた訴訟で、大阪地裁は7月6日、元教諭側の請求を棄却する判決を出した。元教諭側は即日控訴した。

 大阪府では2011年、橋下・維新府政のもと、教職員に入学式・卒業式で「君が代」起立・斉唱を強制する条例が成立した。大阪府条例について、憲法の保障する思想・良心の自由などを侵害するかどうかが争点となっていた。

 2013年3月の卒業式の際、当該校では校長が教職員に対して「君が代」起立斉唱の職務命令を出した。また元教諭は卒業式当日、学校正門での警備担当の職務命令を受けた。多くの新聞報道などでは「途中で会場内に入って『君が代』斉唱時は席に座っていた」と報じられている。多くの報道では前後関係が省略されているために著しい誤解を招く記述のようで、途中で会場内に入った事自体は誤りではないが、警備担当を放棄して入りこんだのではなく、警備担当の任務が終了したから式の会場に入ったとのこと。

 大阪府教育委員会は2013年3月、「君が代」不規律での職務命令違反を理由に、元教諭を減給処分にした。元教諭はその直後の2013年3月末日付で定年退職した。

 判決では、校長の職務命令について、「思想・良心の間接的な制約は否定できない」とした。その一方で起立斉唱について、「儀礼的な所作」として「式の円滑な進行のため、許容できる程度の合理性がある」とした。職務命令の根拠となった大阪府条例についても、違憲性を認めなかった。

 これはあまりにもひどい判決ではないかと感じる。起立・斉唱を強制することが「思想・良心の間接的な制約は否定できない」とする一方で、違憲ではないとは、どういう論理なのか理解に苦しむ。暴力・人権侵害の肯定など現代社会のあり方とは相容れないような思想信条ならともかく、「君が代」不起立・不斉唱はそんな反社会的な思想信条とは全く性質が異なるものである。

(参考)
◎君が代を起立斉唱せず減給、元教諭の取り消し請求を棄却(朝日新聞 2016/7/6)
◎君が代不起立、減給は適法=元教諭の訴え棄却-大阪地裁(時事通信 2016/7/6)
◎君が代訴訟 「元教諭減給処分は裁量権内」大阪府が勝訴(毎日新聞 2016/7/6)
◎大阪府“君が代起立”条例は「合憲」、減給処分の元教員の訴え棄却 大阪地裁判決(産経新聞 2016/7/6)

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