道徳教育の成績評価「入試に使わず」と馳文科相が見解

 馳浩文部科学大臣は6月17日の記者会見で、2018年度より「特別の教科」と位置づけられる小中学校での道徳教育の成績評価について、内申書への記載や入試での合否判定には使用しないとする見解を示した。

 民進党の長妻昭代表代行・衆議院議員がウェブサイトで「文科省の担当者と話した。数年後には道徳の評価が数字での評価となり、内申書や高校入試で活用されることが決まったと聞いた」と話す動画を公開し、インターネット上などで反響が広がっていた。

 馳氏の見解は、長妻氏の動画に反論する形にもなっている。

 そもそも、道徳教育自体が成績評価にはなじまない。文部科学省は「特別の教科」になることに伴って、文章記述式での評価をするとしている。しかし評価となると、特定の到達目標を評価基準として設定し、その目標をどれだけ達成したか、どれだけ近づいたかということが評価基準になることからは避けられない。

 道徳や道徳心については、社会や自然の外部の客観的事実を踏まえたうえで、自分なりの考えを自主的に育成することが必要である。特定の道徳モデルをあらかじめ想定し、それにどれだけ近づいたかを測ろうとするのならば、それは児童・生徒の自主性を否定して内面の押し付け・強制ということになる。

 評価を数値化して内申書への記載や入試での合否判定に使用するなどはもちろん論外であるが、数字評価であれ文章記述式の評価であれ、評価すること自体に重大な問題点をはらんでいる。

 現時点では入試等での合否判定には使用しない方針を表明しても、評価を活用せよと求める動きが出てなし崩しに導入されかねない危険性もある。全国学力テストの平均点公開のように、もっと公開せよとする圧力でなし崩しに認められてきた経緯と同じようなことにもなりかねないという不安がある。

 道徳の成績を内申書や入試合否判定に使用しようとする動きには警戒しながら、道徳教育を成績評価する行為自体についても同時に問われなければならない。

(参考)
◎馳文科相「道徳評価、入試に使わず」 動画に反論(朝日新聞 2016/6/17)

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