大阪府の教育改革:毎日新聞調査の裏話

 毎日新聞は、橋下徹大阪府知事の教育改革について府内の小中学校・高校の校長を対象に調査をおこないました。


 調査の結果はいずれも橋下知事の改革への強い批判や不満がみられ、橋下知事にとっては厳しいものとなりました(当ブログ2009/2/1『大阪府の全国学力テスト開示、ほとんどの校長が批判的見解』、当ブログ2009/2/3『大阪府の高校教育に関する毎日新聞調査>』)。
 『毎日新聞』2009年2月18日付『記者の目:橋下大阪知事に萎縮し続ける教育現場=鮎川耕史』では、この調査について記者の裏話的な内容がまとめられています。
 記事によると、毎日新聞からの調査依頼に対して、ある小学校校長が以下のように答えたといいます。

 印象に残るのは、ある小学校校長の回答だ。一部を要約する。
 「質問に答えることは控えます。橋下知事の姿勢は、現場の意向を尊重せず、一方的に押しつけようとするものだからです。調査結果は知事に批判的なものになり、貴社はそれに沿った記事を掲載するでしょう。知事はそれを真摯(しんし)に受け止めるどころか、攻撃材料に使うことは明白です。今の教育現場は、『正論を言えばつぶされる』『ただじっと耐えているだけ』という、窒息しそうな状況にあります」
 記述はこう結ばれていた。「私の周囲の校長の多くは、同じ理由で『アンケートに回答は出さない』と語っています。教育を守るためのやむを得ぬ手段であることを理解してください」

 回答で校長が予想した内容は、完全に当たった形になりました。実際に調査結果は知事に批判的なものになり、毎日新聞は調査結果を紹介する形での報道をおこないました。橋下知事は調査結果に噛みつき、現場の校長らを非難していると受け取れるような激しい発言をおこないました。
 学力を「テストの点数」という狭い観点からとらえた考え方に立った「学力向上」や府立高校への「進学指導特色校」設置方針など、教育問題に対する橋下知事の理解は、教育に関する基礎的な知識・理解に欠けた俗物的な発想といわざるを得ません。しかも教育的観点から見れば初歩すら踏まえていない施策にもかかわらず、トップダウン的に押しつけ・締め付けを図ろうとすることは、当然のことながらよからぬ問題を引き起こすことにつながっていきます。