「つくる会」がセンター試験「日本史」に筋違いの難癖

 『産経新聞』によると、2009年1月に実施されたセンター試験の日本史の問題について、「新しい歴史教科書をつくる会」が難癖を付け、「学会でも異説がある事柄を歴史事実として扱っており、入試問題として不適切」などとする申入書を送付したということです。

 「つくる会」が難癖を付けているのは、「日本史A・日本史B」共通で出題された問題(日本史Aでは第5問・問5・解答番号23番、日本史Bでは第6問・問5・解答番号33番としてそれぞれ出題)のようです。

2009年センター試験
日本史A 第5問/日本史B 第6問(共通問題)
※機種依存文字は当方で置き換えています。
問5:下線部(e)に関連して、1920年代から1930年代にかけての日本軍の国外活動について述べた次の文[1]~[3]について、古いものから年代順に並べたものを、下の(1)~(6)のうちから一つ選べ。
(※下線部(e):中国における日本軍の行動)
[1]日本軍が中国の都市南京を占領するに際して、捕虜や非戦闘員を殺害する事件が起きた。
[2]中国東北部での日本軍の活動に対して、国際連盟からリットン調査団が派遣された。
[3]関東軍参謀河本大作らが、中国軍閥の一人である張作霖を、奉天郊外において爆殺した。
(1)[1]-[2]-[3] (2)[1]-[3]-[2] (3)[2]-[1]-[3]
(4)[2]-[3]-[1] (5)[3]-[1]-[2] (6)[3]-[2]-[1]

 [1]の南京大虐殺は1937年、[2]のリットン調査団派遣は1931年、[3]の張作霖爆殺事件は1928年、よって発生日時順に並べ替えると[3]-[2]-[1]となり、正解は(6)となります。重箱の隅をつつくような問題ではなく、教科書レベルの基本的な出題です。
 「つくる会」は「南京で虐殺事件が起き、河本大作が爆殺の実行犯と断定しなければ解答できず、特定の歴史認識を強要、誘導する設問」と難癖を付けています。
 しかし「つくる会」が「特定の歴史認識」とケチをつけているものこそ歴史上の定説となっています。「つくる会」が主張するような「南京大虐殺はなかった」「張作霖爆殺事件では河本大作は爆殺の実行犯ではない」という主張こそが、歴史学上で相手にされていない「特定の歴史認識」です。
 「つくる会」の主張の内容自体は、率直に言って相手にするのも馬鹿馬鹿しいレベルです。しかしこのような申し入れをおこなうことで、大学入試での出題を萎縮させ、学問的到達点とはかけ離れた特定の歴史認識・イデオロギーを間接的に広める役割を果たす危険性もあります。
 そういえば以前にも、2004年度の世界史の設問に対して、右派が特定の歴史認識を押しつける立場から似たような圧力をかけた問題もありました。
 今回の問題でも、大学入試センターが毅然とした対応をとることを願います。