ベビーシッター虐待事件、初公判は6月10日

 2014年に当時2歳と生後8ヶ月の兄弟がベビーシッターから虐待を受け2歳児が死亡、8ヶ月児童も低体温症の状態で発見された事件で、殺人などの罪で起訴された元ベビーシッター、物袋もって勇治(28)の裁判員裁判が6月10日に横浜地裁で始まる。

 初公判を前に、朝日新聞が被害児童の母親に取材をおこない、「わが子、なぜ死なねば シッター事件、母親の後悔は続く」(2016年6月2日付)にまとめている。

 この事件は、母親が仕事に出るために子どもの預かり先を探していた際、ネット上のベビーシッター紹介サイトを通じて物袋とコンタクトを取った形になった。

 しかし物袋はベビーシッター紹介サイトでのトラブルの常習者で、利用者から虐待などの通報・苦情も相次いでいたことから、紹介サイトからは退会処分を受けていた。物袋は偽名を使ってサイトに再登録していた。この母親と物袋は以前にもベビーシッターでトラブルになっていたが、物袋が偽名を使っていたことや、物袋は母親とは直接対面せずメールで連絡したり、子どもを迎えに行く時は代理人を迎えに行かせていたことから、同一人物と気づくことはできなかった。

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 極めて悪質な事件であり、被告には厳しく対処されなければならない。しかし同時にこの事件は、異常な輩個人の犯罪という側面だけで見るのは不十分で、こういう人物が保育現場に紛れ込めるような現行のシステムにも遠因があるのではないかと思える。

 折しも2016年には、保育所の待機児童問題が国会で取り上げられて大きな政治問題となっている。保育所不足で子どもを預けられなくて困った保護者が、無認可保育所や保育ママ・ベビーシッターなどに頼らざるを得なくなる状態が生まれている。しかしそれらの質は、認可保育所と比べて基準が低く設定され、法的には質が担保されていない。そのため、中には金儲けや異常な欲望を満たすためだけに参入して低質な行為をおこなうものまで生まれてしまう。

 保育行政の不十分さが最悪の形で現れた事件という気がしてならない。

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