教科書採択アンケートに「問題なし」:大阪市教委

 2015年夏の中学校教科書採択に際して、大阪市教育委員会が実施した教科書展示会で、同一人物の可能性が極めて高いと思われる筆跡で同一内容のアンケート回答が多数見つかった問題について、大阪市教委が「アンケート方法や採択手続に問題はない」とした調査結果をまとめていたことが、5月17日までにわかった。

 5月19日に行われる大阪市会教育こども委員会で報告される予定となっている。一方で大阪市教委の調査は、市教委内部での聞き取りなどが主となっているという。

 大阪市は育鵬社版の中学校社会科歴史・公民教科書を採択した。この際、大阪府岸和田市の住宅販売会社「フジ住宅」が育鵬社と連絡を取り合い、「育鵬社教科書に賛成の意見が多ければ育鵬社教科書が採択される可能性が高まる」という情報のもと、従業員を組織的に教科書展示会会場に行かせてアンケートに育鵬社教科書支持の意見を書かせたと指摘されている。また「フジ住宅」では、会場でのアンケート用紙を大量に会社に持ち帰らせて、会社でひな型にそって記入し、従業員を再び会場に赴かせて同一文面を大量に投函したなどの行為も指摘されている。

 「フジ住宅」の会長は、育鵬社教科書執筆グループの母体である「日本教育再生機構」に関与している。またフジ住宅では、業務とは無関係な民族差別的な文書を日報などの形で配付されるなどした「ヘイトハラスメント」問題が起き、その問題の一環として教科書展示会への組織的動員の問題も指摘された。

 また大阪市教委は、集計担当者がアンケートに同一文面があるなど不審な点にあることを気づきながら、育鵬社教科書への賛否の数のみをそのまま集計して、採択を決める教育委員会会議に資料として提出したことも指摘されている。

大阪市教科書アンケート、同一文面回答多数など不審点を集計者が認識
 2015年夏の大阪市立中学校の教科書採択に際し、教科書展示会での来場者アンケートにフジ住宅(大阪府岸和田市)の組織動員があり、同一・酷似文...

 この問題については、大阪市会でも継続的に追及されている。調査報告の詳細は19日の報告によることになるとはいえども、今までに明らかになっている範囲でも「問題はない」と結論付けることは不十分だと思われる。

 不正といっていいような内容であり、第三者委員会の設置なども含めての徹底した対応が必要ではないか。

(参考)
◎教科書アンケート「問題なし」 複数回答問題で大阪市教委(共同通信 2016/5/17)