「不登校はいじめが原因」第三者委員会が報告書提出:大阪市

 大阪市立小学校で2013年、当時6年の男子児童が卒業まで登校できなくなったのはいじめが原因として、保護者が再調査を求めていた問題で、大阪市の第三者委員会は5月10日、「根深いいじめが原因だった」とする報告書をまとめて市に提出した。

 第三者委員会では同級生や当時の教員から事情を聴いていた。第三者委員会では少なくとも4件をいじめと認定し、他にもいじめが疑われるものが相当数あるとした。

 2013年9月の水泳の授業中、ふざけていた同級生をこの児童が注意したことを逆恨みされ、児童がつけていたゴーグルを奪い取られてプールに放り投げられた。児童が取りにプールに入り、プールサイドから上がろうとしたところ、加害児童はこの児童を待ちかまえて、プールサイドで児童の顔面を蹴りつけた。

 この日から執拗ないじめが始まったという。同じ頃、同級生数人が「あいつを仲間はずれにしよう」と話していることも確認された。

 2013年10月下旬には、児童のズボンが教室の棚に隠される事案が発生した。児童はこの頃、「はみご(※「仲間はずれ」の意味の大阪弁)にされてる」と保護者にいじめ被害を訴えていたという。

 2013年11月1日には、休み時間に同級生から廊下で殴る蹴るなどの暴力を受けた。異変に気づいた学校職員が加害児童を制止し、児童は教室の自席に戻ったものの、教室に遅れて戻った加害児童はこの児童に筆箱を投げつけて頭を殴った。児童は発熱や嘔吐などの症状を発症し、しばらく学校を休んだ。

 児童が再び登校した2013年11月6日、校内の廊下に掲示されていた修学旅行の写真に、児童の顔の部分に×印がつけられていた。児童はショックを受けて翌日以降卒業まで登校できなくなった。

 さらに児童が不登校に陥ってからも、この児童を道で見かけた同級生が「なんで不登校なのに遊んでんねん」などと罵倒して石を投げるなどの事案もあった。

 いじめの内容も悪質である。さらに報告書では、学校側の初動の対応に問題があったと判断している。担任教諭は9月のプール事件を「どっちもどっちのもめ事」と扱い、また11月の暴力事件でもいじめの認識がなく、児童を病院に連れて行かず、また加害児童へ厳しく指導した様子もなかったと判断した。

 いじめへの対応の悪さが、状況をよりこじらせたという典型例であるといえる。

 吉村洋文大阪市長は報告書を受け、「教育環境を整備するのは政治家の役割。いじめや『体罰』の問題は教育委員会だけに任せる事項ではない」として、市長と教育委員出席のもとでいじめ問題・「体罰」問題を議論する「総合教育会議」を5月17日に開催する意向を表明した。

 もっとも、橋下徹以降の「維新政治」や、それに伴う教育関連条例などで、大阪市の教育自体がいじめのような体制になっているということも忘れてはいけないだろう。「維新政治」のもとでおこなわれてきた教職員への異常な締め付けや、児童・生徒の問題行動へのゼロ・トレランス的な厳罰化などが、いじめを隠蔽したり放置するような遠因の一つともなっているのではないか。

(参考)
◎【いじめ大阪市報告書】ゴーグル隠され水から上がると蹴り…「あいつはみろう(仲間外れ)ぜ」エスカレート、「暴力」容認へ(産経新聞 2016/5/10)
◎ 小6男児不登校 いじめ原因を認定 大阪市第三者委(毎日新聞 2016/5/10)