大阪市、新卒保育士に最大20万円補助:小手先のごまかしにしかならないのでは

 大阪市は5月6日、待機児童対策の一環として、新卒の保育資格取得者で保育施設に就職する人を対象に、最大20万円の給付金を支給する方針と発表した。大阪市会の5月議会に補正予算案を提出し、可決されれば2016年夏からの導入を目指すとしている。

 保育所不足の背景の一つとして保育士不足があるとして、保育士を増やす施策が必要だとしたという。大学・短大や専門学校などの卒業者で卒業後すぐに保育施設に就職した場合に10万円、1年間勤務した場合はさらに追加で10万円を、勤務先事業所を通じて給付するとしている。厚生労働省によると、同種の施策は「聞いたことがない」として、初めてではないかとみられるという。

 「ないよりはマシ」程度の施策で、ほとんど無意味に近いものである。本質的な解決とは程遠い、小手先のごまかしでしかない。

 保育資格を持っている人が保育士をあきらめて新卒後別業種に就職したり、一度就職しても離職・転職したまま帰ってこない場合が多い背景には、給与面その他での保育士への待遇の悪さも含めた保育条件の悪さが背景にある。

 保育士が集まらないと保育所が新設できなかったり、つめ込み保育の口実となったりして、より保育条件が悪化するスパイラルに陥ることにもなる。

 また、大阪市政与党・大阪維新の会は「大阪市立保育所の全民営化」やら「無資格者でも子育て経験者を補助員として活用」を掲げている。また市政としても市立保育所を民間委託するなどの施策が進んでいる。維新市政の大阪市では、同じく維新知事の大阪府と一緒になって「特区」を検討し、保育の規制緩和=条件悪化を狙っている。

 そういった背景に根本的にメスを入れずに、わずか20万円の一時給付金では、小手先のごまかしにしかならないのではないか。

(参考)
◎保育士不足に全国初の一手 大阪市、新卒就職者に20万円給付制度導入へ 待機児童対策を強化(産経新聞 2016/5/6)