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全国学力テスト:愛媛新聞社説を読む

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 「愛媛新聞」2008年12月30日付に、「学テ結果公表 在り方を一から見直すべきだ」という社説が掲載されています。

 同社説では「学力テストで試される科目は小学六年と中学三年の国語と算数(数学)だけ。ごく一部のデータにすぎない。それを公表することにどれだけの意味があるのか。」「全員参加にしたことで、学校や学級ごとの比較も可能になった。そんなシステムをつくっておいて、公表を制限する文科省の主張は説得力に欠ける。」などと指摘し、廃止も含めてテストのあり方を見直すべきだとしています。
 愛媛新聞の社説が指摘している、現状の学力テスト実施に伴う矛盾点・問題点は、かねてから当ブログでも繰り返し指摘していたことです。
 学力テストの成績公表に伴うメリットは見当たりません。逆にデメリットのみが浮かび上がります。現にこの2年間の全国学力テストの実施で、平均点や順位の上下だけに着目して騒ぎ、本当の意味での学力向上策が置き去りにされつつあるという風潮が加速しています。また行政として全体的な傾向を把握する目的の学力テスト実施はありえますが、その場合は全員調査をおこなう必要はなく抽出調査で十分だといえます。
 現行のやり方での全国学力テストは廃止すべきですし、続けるにしても運営の抜本的な再検討が求められます。

学テ結果公表 在り方を一から見直すべきだ(愛媛新聞 2008/12/30)
 文部科学省が制限していた全国学力テストの市町村別データの公表を、秋田県の寺田典城知事が強行した。
 県による全市町村別データの公表は全国初だが、すでに大阪府の橋下徹知事が一部を開示、鳥取県議会も開示に向けた情報公開条例改正案を可決している。
 公表制限は、市町村間や学校間で過度の競争や序列化を招かないようにと定められたが、法的な拘束力はない。実施二年目にして早くも形骸(けいがい)化の恐れが出てきた。
 寺田知事は地元市町村教委の反対を無視する形で公表に踏み切った。県教委の幹部も事前に知らされておらず、「やりすぎ」という批判は避けられまい。
 寺田知事は公表の理由を「公教育はプライバシーを除いて公開が基本。情報を共有して活用することが県民の利益につながる」と説明する。
 確かに、行政が得た情報はできる限り開示すべきだ。学力向上につなげたいという意図も理解できる。
 しかし、学力テストの参加主体は市町村教委だ。現場が反対することを頭ごなしに強行する態度は疑問だ。公表が本当に学力向上につながるのか、今後の教育にどう生かすのかという説明もなかった。
 学力テストで試される科目は小学六年と中学三年の国語と算数(数学)だけ。ごく一部のデータにすぎない。それを公表することにどれだけの意味があるのか。
 当初から懸念されていた通り、数字が一人歩きを始め、市町村間と、ひいては学校間の競争をあおり、序列化につながりかねない。
 このままでは一九六〇年代の旧学力テストの失敗と同じ道を歩むことになる。やはり公表は市町村教委の判断に任せるべきだ。
 文科省の態度も中途半端だ。本当に過当競争を招くと考えているなら、テストの在り方自体を見直すべきではないか。
 学力テストは本来、現状把握が目的だ。抽出調査で十分だったはずだ。全員参加にしたことで、学校や学級ごとの比較も可能になった。そんなシステムをつくっておいて、公表を制限する文科省の主張は説得力に欠ける。
 実施費用も二〇〇七年が七十七億円、〇八年が五十八億円と膨大だ。それだけの予算があれば、教員の増員に充てた方が学力向上につながるとの意見も根強い。
 結果を開示された秋田県の一部の市町村教委は、来年度以降のテスト参加を見合わせる姿勢を見せている。
 現場の混乱はさらに広がる恐れがある。現状にかんがみ、テストの廃止を含めて一から再検討するべきだ。少なくとも全員参加の形は見直すべき時期に来ている。