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障害児転落事故:小金井市に賠償命令

 東京都小金井市立小学校で2004年、障害児学級(現・特別支援学級)担任教諭が、自閉症の男子児童(当時3年生)を体育館2階の倉庫に閉じこめ、パニックになった児童が窓から転落して重傷を負った事故がありました。

 この事故で児童の保護者が起こしていた民事訴訟の判決が5月29日に東京地裁八王子支部でありました。判決では、市から被害少年へ計約397万円を支払うよう命じました。一方で訴訟では当時の校長・担任教諭も被告となっていましたが、校長や教諭個人への賠償請求は退けられました。
 事故に至る経過は以下の通りでした。

2004年11月、男子児童が体育館2階の倉庫に入り込んだとして、障害児学級担任の教諭が注意した。しかし児童が言うことを聞かなかったとして、教諭は「そんなに入りたいのなら入っていなさい」と叱って倉庫の扉を閉めて児童を閉じこめた。閉じこめられた児童はパニック状態になって倉庫の窓から地面に転落して重傷を負った。

 裁判ではけがの状況などから、けがは窓からの転落によって生じたものだと認定しました。また自閉症の児童の特徴から、パニックになることは予見できたと判断して教諭の過失も認めました。
 もっとも、一般の児童を対象にした指導でも「閉じこめる」というやり方は乱暴で不適切な指導であり、広い意味での「体罰」と見なされかねないものです。さらに自閉症児童の特徴を考慮すれば、より危険な指導だといえます。判決は自閉症児童の特徴に踏み込んだ内容になっており、被害者側の事実上の全面勝訴といって差し支えのないものだといえます。
 訴訟をきっかけに、小金井市の小学校では窓に転落防止の工事をしたり、自閉症に対する教師向けの研修を開催するなど、対策が進んでいるということです。本当に求められているのは、被害者への賠償金の額うんぬんではなく、障害への理解・事故を未然に防ぐための対策・万が一事故が起こった際の真摯な調査説明などではないでしょうか。
 この訴訟は「けがをした児童の個人的な問題」にとどまらせず、「学校教育および特別支援教育を充実させるための社会的意義を持った訴訟」ととらえ直し、理解と対策の強化を図っていくことが、全国の学校で求められているといえます。