※当ブログは新サイト に移転いたしました。

新規の編集は、新サイトの方で実施しています。

落雷事故訴訟:審理差し戻し

 高知県内の高校のサッカー部員だった男性が1996年8月、大阪府高槻市でのサッカー大会に出場した際に落雷事故に遭って重い障害を負ったとして、当時通っていた高校や大会主催者の高槻市体育協会などを相手取って損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第2小法廷は3月13日、原告の請求を棄却した1・2審判決を破棄し、審理を高松高裁に差し戻す決定をおこないました。最高裁は「落雷は予見可能だった」と判断して、「落雷は予見不可能」とした原判決を破棄したということです。

 落雷事故の直前、試合会場周辺では暗雲が立ちこめ、雷鳴が聞こえるなど、雷の兆候がみられたということです。

 こんな天候のもとでは、別に気象の専門家ではなくても落雷の危険性は容易に予知できるだろうという印象を持ちます。事故当時、「試合を一時中断して、安全なところに避難して天候回復を待つ」などの対策はとれたのではないかという思いがあります。

 また、サッカーの試合という状況のもと、引率者や試合主催者が「試合続行」を判断したことは、果たして妥当な判断だったのでしょうか。

 「毎日新聞」の記事(web版・2006年3月13日配信)が、引率者の責任について突っ込んだ解説をしてくれているので、記事を一部引用します。

 落雷事故を巡る13日の最高裁判決は、生徒の安全を守るべき立場にある教師や学校側の責任を重く見たものといえる。

 落雷を巡っては、ゴルフ場では危険と判断された場合、プレー中止の措置をとることが常識だ。しかし、裁判では00年、東京地裁が「雷鳴が識別できれば危険な状況」と認めながらも「予測は極めて困難」と遺族の請求を棄却していた。

 これに対し、最高裁が「事故は予見可能」とした背景には、仮に特定の生徒に落雷が直撃することを予見出来ない場合でも、生徒全員の安全を守るために教師は最善の注意を尽くすべきとの考えがあるとみられる。「自己責任」のゴルファーと異なり、生徒は教師に従わざるを得ないからだ。

(『毎日新聞』2006/3/13より)

 今回の場合、学校活動の一環としての部活動の試合に参加し、引率者である教師や、大会主催者に従ってプレーした結果、このような事故に巻き込まれたと判断するのが妥当といえるでしょう。今回のケースは、引率者や大会主催者の管理責任が問われるケースだと考えられます。

 事故を未然に回避することは可能だったのか、引率者や大会運営者の判断に問題はなかったのかなどが、今後問われることになってくるでしょう。

 この訴訟は被害者の個人的な問題にとどまらず、学校活動での安全確保や、大会・イベント運営などでの主催者の安全管理体制など、社会的に多くの問題を提起する訴訟といえるでしょう。